2004 Fiscal Year Annual Research Report
シーケンシャルユースを考慮した低環境負荷型プラスチックの作製
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16760623
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧 泰輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (10293987)
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Keywords | ポリ塩化ビニル / 大気圧プラズマ / プラズマ表面処理 / 表面架橋 / 環境汚染 / 環境ホルモン / プラスチック廃棄物 / シーケンシャルユース |
Research Abstract |
今日、プラスチックは我々の生活において欠かせない材料となっている。しかし、プラスチック中には酸化防止剤として難分解性で成長阻害作用や免疫系への影響が指摘されている有機Sn系安定剤、また可塑剤としてフタル酸エステル等が含まれており、プラスチックの使用中あるいは廃棄後に流出するため、近年環境問題として大きく取り上げられている。本研究ではポリ塩化ビニル(PVC)の表面に大気圧プラズマを照射して表面処理を施すことにより、化学物質の溶出量を低減することおよび熱安定性、耐酸化性を向上させて化学物質添加量の減少を目指すことを目的とした。 まず、プラズマ処理による表面構造の変化を検討したところ、プラズマ処理により、,表面の塩素原子の量は減少し、酸素原子の量は一度減少した後に再度上昇する傾向を示した。これは,プラズマ処理によりPVC表面でC-Cl結合が切断されて架橋構造が形成されるとともにPVC表面に存在していた可塑剤等の添加物が減少したためと考えられた. 次に、プラズマ処理によるSnと有機炭素の水中への溶出への影響を検討したところ、Snと有機炭素の溶出量はともに低減された。これによりプラズマ処理によりプラスチック中の化学物質の水中への溶出抑制効果を示唆した。また、表面構造と化学物質溶出抑制効果には密接な関係があることが分かった。最後に1週間空気中で加熱した試料の熱重量曲線を比較することで、酸化安定性を検討した。プラズマ処理を施したPVCは酸化後も未酸化の試料と熱重量曲線が同等であり、プラズマ処理をすることによって試料の酸化が抑制されたといえる。これは表面に架橋が形成したことで酸素の試料内部への拡散が抑制されたためと考えられる.また,熱安定性についても同様の結果が得られた。このことからプラズマ処理により熱安定性、耐酸化性が向上したことが分かった。
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