2005 Fiscal Year Annual Research Report
MWW構造をもつアルミノシリケート・ゼオライトの固体酸触媒特性の検討
Project/Area Number |
16760627
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲垣 怜史 東京工業大学, 資源化学研究所, 特別研究員 (90367037)
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Keywords | MWW型ゼオライト / 固体酸触媒 / 気相輸送法 / トルエンのアルキル化 / パラキシレン選択性 |
Research Abstract |
ゼオライトの新規合成法であるドライゲルコンバージョン法によりMCM-22ゼオライトの結晶化を試みた。 アルミノシリケートのドライゲルに構造指向剤であるヘキサメチレンイミン(HMI)を気相から供給する,気相輸送(vapor-phase transport, VPT)法を用いてMCM-22ゼオライトの結晶化に成功した。既存の水熱合成(hydrothermal synthesis, HTS)法では調製条件を変えても生成物の大きさは0.5〜1.0μm程度となるが,VPT法で得られたMCM-22は2.0〜3.0μmと大きかった。このようにVPT法では水熱法では得られない大きな粒子径をもつMCM-22を得ることができた。 またVPT-MCM-22ゼオライトがHTS-MCM-22ゼオライトに比べて,トルエンのメタノールによるアルキル化で高いパラキシレン選択性が得られることを見出した。VPT-MCM-22ゼオライトはアンモニア昇温脱離測定およびピリジン吸着IR測定では水熱法で得られたMCM-22ゼオライトと同様の酸強度を示したが,外表面酸点を定量したところ,前者のゼオライトでは粒子径が大きく,外表面積が小さいために外表面酸量が少ないことが明らかとなった。その結果,外表面での非選択的な反応に比べて10員環ミクロ孔での形状選択的な反応が支配的に起こるため,VPT-MCM-22ゼオライトで高いパラキシレン選択性が得られたものと結論した。このような高選択性を示す形態をもつMCM-22ゼオライトは既存の水熱法ではこれまでに得られておらず,ドライゲルコンバージョン法を用いて初めて得られたものである。
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