2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質活性再生における添加剤効果の解明と汎用的蛋白質調製系の構築
Project/Area Number |
16760628
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 光央 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (70333846)
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Keywords | 不溶性顆粒 / 大腸菌発現 / 巻き戻し / アルギニン |
Research Abstract |
現在、簡便で安定的な蛋白質大量調製系の構築が求められているが、最も汎用性の高い大腸菌発現系では発現した蛋白質が不活性な不溶性顆粒として沈殿してしまうことが多々ある。これまで申請者は、バイオ医薬の中心的な役割を果たしている抗体蛋白質について、実際の不溶性顆粒から高効率で巻き戻すシステム(添加剤導入段階透析法)を開発してきた。この手法は、不溶性顆粒を高濃度の変性剤で可溶化後、変性剤を段階的に除去し、最適な段階で凝集抑制剤や酸化還元剤を添加することを基本としており、様々な抗体や受容体の蛋白質で80%以上の活性再生効率を達成している。この添加剤導入段階透析法は、透析速度の制御や酸化還元剤・凝集抑制剤の添加法を改良することによって、多種多様な蛋白質の巻き戻り特性に対応できる利点がある。そこで本年度では、最も基本的なスーパーフォールド構造(9種類)骨格を持つ蛋白質に対して、添加剤導入段階透析法を適応させた。また、添加剤として用いているアルギニンの蛋白質巻き戻し効果についても考察した。 各スーパーファールド構造を持つ蛋白質に関しては、すべて50%以上の効率で再活性することができた。その際の添加剤導入時期は、トリプトファン蛍光がブルーシフトする段階で加えるのが最適であることが分かった。現在、その結果を用いて、フロー系の自動再生活性システムを設計中である。また、アルギニン効果に関しては、蛍光プローブによる追跡結果により、疎水的領域の界面への露出が最も高い時、その効果が顕著に見られることから、疎水的相互作用の阻害に関与していることが分かった。
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