2004 Fiscal Year Annual Research Report
リアクタンス成分測定による細胞内ヘムタンパク質の状態分析法の確立
Project/Area Number |
16760632
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉原 伸宏 信州大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10324245)
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Keywords | GS-3A4-HepG2細胞 / インピーダンス測定 / リアクタンス / マウス胎児心筋細胞 |
Research Abstract |
ITO電極上で細胞培養可能な容器を自作し、下記2種類の細胞のインピーダンス変化の検出によって、各細胞の形態変化・増殖能などの連続測定を検討した。 (1)ヒト肝由来細胞株GS-3A4-HepG2を30万個/ウェル播種し、FBSの有無において細胞が増殖する過程を6日間インピーダンス測定した。また、培養開始から24〜48時間後について既存細胞増殖能評価方法であるMTT法により細胞数を測定し、インピーダンス変化量との比較を行った。その結果、FBS存在下で培養した細胞は6日間までインピーダンスのベクトル成分であるリアクタンスの増加が見られた。しかしFBS非存在下では細胞培養後30時間程度でリアクタンスの増加割合が低下した。そこでMTT法によりFBS存在下の培養環境で細胞培養24〜48時間までの細胞増殖率を測定したところ1.3倍であった。この変化はインピーダンス測定により得られた同培養時間でのリアクタンス比の増加量1.3と相関を示した。 (2)マウス胎児心筋細胞が接着して拍動が開始するまで2日間培養し、培地交換直後、3、6、24時間後の心筋細胞の心拍によるインピーダンス変化を測定した。その結果、1秒間隔で周期的なリアクタンスの減少が見られた。この変化は拍動しないGS-3A4-HepG2細胞株では見られない事から、心筋細胞の拍動運動をモニタしているものと考えられる。その後6時間まではほぼ1秒毎のインピーダンス変化を示したが、培養24時間ではリアクタンス変化は4秒に1回と遅くなり、変化量も当初に比べ1.5倍程度大きくなった。この段階で形態観察を行ったところ確かに4秒間隔で大きく拍動する心筋細胞を観察する事ができた。 今回の実験で細胞の増殖変化及び形態学的な変化をインピーダンス測定で検出できる可能性が示唆された。今後は赤血球細胞の酸化還元反応のモニタリングなどへ応用を図り、種々の細胞種における細胞変化を観察・解析できるかどうか確認を行う。
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