2004 Fiscal Year Annual Research Report
独自の遠心力細胞組織化誘導技術を用いた心筋パッチ・軟骨パッチ・角膜パッチ等の開発
Project/Area Number |
16760639
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水本 博 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90346817)
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Keywords | 細胞組織体 / 三次元培養 / 再生医療 / 軟骨細胞 / 心筋細胞 / 肝細胞 / ポリウレタン発泡体 |
Research Abstract |
本年度研究成果概要を以下に示す。 1.損傷軟骨修復用の移植用軟骨組織片(軟骨パッチ)開発の基礎検討として,軟骨細胞の組織化に関する基礎検討を行った。培養担体としてポリウレタン発泡体(PUF)を用いて検討を行った。その結果,疎水的表面特性を有するPUF(表面接触角約80度)を用いた場合,軟骨細胞はPUF表面に付着・伸展し,細胞は活発な増殖活性を示した。一方,親水的表面特性を有するPUF(表面接触角約50度)を用いた場合,軟骨細胞のPUF表面での細胞形態は球形となり,その結果細胞増殖活性は抑制された。さらに培養を継続させると軟骨細胞は直径150μm程の球状細胞組織体(スフェロイド)を形成することが示された。このように培養担体表面の濡れ特性を変化させることにより軟骨細胞の細胞形態の変化が見られ,その結果,細胞の増殖,機能発現を制御できる可能性が示された。 2.PUF孔内において形成された軟骨細胞スフェロイドについて,各種染色法を用いて内部の組織化学的評価を行った。その結果,軟骨細胞スフェロイド内部において,生体軟骨組織中で観察されるコラーゲンやプロテオグリカンなどの細胞外マトリックスの分泌が確認された。すなわち,軟骨細胞スフェロイドは生体軟骨と同様の細胞外マトリックス分泌能を有している可能性が示された。 以上の結果,移植用軟骨パッチ作製のための基礎的知見を得ることができ,軟骨細胞による組織体形成がパッチの作製において有望であることが示された。現在これらの知見を基にシート形状の軟骨細胞組織体の形成誘導に取り組んでいる。
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