Research Abstract |
CVD法によるSiCの蒸着条件を詳しく調べてきた.1100℃〜1250℃の間8水準の蒸着温度でC/C基材表面に蒸着を行った結果,1150℃は最適な温度であることが判明した.1時間蒸着したSiCコーティングは厚さが約12μmで,亀裂が存在することが判った.これに対して,直接成長によるカーボンナノチューブ(CNT)を担持しているC/C基材に1時間蒸着したCNT-SiCコーティングの場合は,C/C表面だけでなく,CNTの表面にも蒸着していたため,厚みが約30μmであった.また,亀裂間の距離が0.3mm-0.4mmで,亀裂の数は半分ほど減少した.これはCNTによりコーティングの熱膨張係数が減少することやCNT-SiCの破壊靱性が向上することのためと考えられる. 1200℃で2時間酸化実験では,C/C-SiCは55%の質量減少に対して,C/C-CNT-SiCの質量減少は15%であった.コーティング中の亀裂は少ないほど,酸化速度は低いことが考えられる. C/Cには数百ミクロンの気孔が多数存在するため,SiCやCNT-SiCを被覆した後,気孔を完全に塞ぐことができなかった.この気孔の先端から亀裂が発生することがほとんどである.そのため,C/C試料をSiC-ポリカルボシランのスラリーの含浸-熱分解により封孔処理を行った.封孔処理はC/Cの耐酸化性に直接に影響はなかったが,SiCコーティングやCNT-SiCコーティング中の亀裂の減少に大きく寄与した.1200℃で2時間酸化実験では,封孔処理C/C-SiC試料は7%の質量減少,封孔処理C/C-CNT-SiC試料は4%の質量減少を示し,耐酸化性が著しく向上したことが判った. 直接成長によるCNTの構造と形状が制限されるので,別途合成したMWCNTを用い,酸処理し,エタノールでの分散液を作製し,C/Cに含浸し,C/C表面にMWCNT膜を得た.SiC蒸着した後,均一なCNT-SiCコーティングが得られた.SEM観察により,亀裂が少なかったにもかかわらず,剥離が起こったため,耐酸化性が劣っていた.MWCNTの膜が形成したとき,すでに剥離が発生し,コーティングの方法が改善することが必要になる. 今後,CNTの担持方法を改良し,CNT-SiCの特性を向上する.また,ホウ素化合物を添加し,完全な耐酸化性コーティングを作製する.CNT-SiC複合コーティングの機械特性や耐熱衝撃性を定量的に評価する.
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