2005 Fiscal Year Annual Research Report
超小型高推力レーザーアブレーション推進機の基礎技術研究
Project/Area Number |
16760646
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Aeronautical Engineering |
Principal Investigator |
中野 正勝 東京都立航空工業高等専門学校, 講師 (90315169)
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Keywords | マイクロスラスタ / レーザーアブレーション / レーザー着火 / インパルス増強 |
Research Abstract |
(1)レーザーの照射条件及び推進薬を変えた性能取得試験 推進薬としてB/KNO_3系火薬を用い、レーザーのパワー、照射時間、レンズを変えた試験を行い、性能解析・性能向上のための基礎データを実験的に収集した。B/KNO_3系火薬のレーザーによる真空下での着火性能は良好であり、確実な着火のためには1W程度のパワーが必要であることが確落された。 (2)数値流体解析(CFD)による性能評価法の確立 レーザー光により着火した推進薬は、空気力学的な加速によりインパルスへと変換されるため、その過程を数値流体解析によりモデル化することで、最適なスラスタ形状の確立など性能向上に役立てることが出来る。そのための数値計算コードを作成し、必要なノズル膨張比などのデータを得た。これらデータを用いて設計したスラスタのインパルスの実測値は計算値とよく一致し、計算の妥当性が確認されるとともに、性能向上のための有効なツールを得ることが出来た。 (3)プルームの防御法の確立 レーザーアブレーションやレーザー着火に際して問題となるのはプルームによる光学系及び衛星のコンタミネーションである。コンタミネーションを防ぐために、火薬をアクリル容器に閉じ込める方法を考案し、アクリル容器を通してレーザー光で火薬を着火させることで、コンタミネーション防御に優れたスラスタ形状を確立した。また、スラスタを太陽電池のそばにおいて作動させ、実際にどの程度電力が低下するかを実測した。プルームが太陽電池表面に付着する事で数%程度の出力の低下が認められたが、全体性能に著しいインパクトを与えることはないと確認された。 (4)耐久性能の評価 半導体レーザーやスラスタの駆動装置などの真空下における耐久性能を評価するために、1ヶ月間の真空下での暴露試験を行い、駆動系ならびに火薬の着火性能に問題がないことを確認した。また、レーザーによる火薬の着火性能について、100発を超える作動試験を行い、着火率ならびにインパルスについて統計的なデータを取得した。
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