2005 Fiscal Year Annual Research Report
伝熱管内液膜流動機構の高精度予測モデルの開発に関する研究
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16760653
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
波津久 達也 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教授 (60334554)
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Keywords | 気液二相流 / 環状流 / 液膜 / 界面輸送 / 界面積濃度 / 界面波 / 液膜厚さ / レーザーフォーカス変位計 |
Research Abstract |
本研究は、舶用プラント配管内の未発達域から完全発達域に渡る界面波の時空間的変動特性を実験的に捉え、流動メカニズムの解明に資する精度の高いデータベースを構築するとともに、液膜の発達と液滴発生の相互作用を考慮に入れた環状流界面輸送に関する機構論的モデリングを行うものである。 最終年度となる平成17年度は、平成16年度に収集した液膜厚さおよび液膜界面構造に関するデータをもとに、垂直管上昇環状流における液膜の一次元平均界面積濃度と管断面界面積濃度分布の管軸方向発達特性を整理した。また、既存のドリフトフラックスモデルおよび液滴径と液滴飛散量に関する相関式を用いた環状流界面積濃度の評価モデルを作成し、平成16年度に得られた液膜界面積濃度の計測結果との比較から、作成したモデルの適用性を評価した。 平成17年度の研究において得られた知見は以下のようにまとめられる。 1 環状流の液膜界面積濃度は、管軸方向の発達に伴って徐々に増加する。その増加率は、本実験の範囲において最大で3%であった。 2 既存のドリフトフラックスモデルと飛散液滴に関する相関式を用いて、環状流における液膜界面積濃度の軸方向変化を予測するモデルを作成し、実測値と比較した結果、両者の偏差は本実験の範囲において2.5%以内であった。 3 全界面積濃度に対する液膜界面積濃度の寄与率は、気液レイノルズ数の増加に伴って、徐々に減少することを解析的に示した。本実験における最小の気液レイノルズ数条件(Re_g=31800,Re_f=1050)では、液滴発生量が少ないため、液膜界面積濃度の寄与率は1に近い値を示した。一方、最大の気液レイノルズ数条件(Re_g=98300,Re_f=9430)においても、その寄与率は0.4以上の高い比率を示した。したがって、広範な流動条件において、液膜が環状流の界面輸送項の重要な要素になると言える。 4 液膜界面積濃度の管断面分布を、液膜界面変位の計測結果を用いて実験的に整理した。液相レイノルズ数の低い条件において、液膜界面積濃度の分布形状は、壁面近傍に鋭いピークを有する。また、液相レイノルズ数が増加すると、界面の波立ちが激しくなることで、その分布のピークが徐々に鈍化し、管中心方向に長いすそ野を持つ分布形状へと移行することが確認された。 今後は、本研究で得られた知見をもとに、環状流を対象にした高精度な流動発達予測式、すなわち液膜界面構造の変化と液滴の飛散・付着メカニズムを考慮した界面積濃度輸送方程式を開発していく予定である。
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Research Products
(6 results)