2005 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトラム拡散技術を用いた水中音響測位に関する研究
Project/Area Number |
16760658
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
渡邊 佳孝 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, 研究員 (40359138)
|
Keywords | スペクトラム拡散 / 水中音響測位 / SSBL / DSSS / 水中音響通信 / マルチパス / 音速プロファイル |
Research Abstract |
本研究は、スペクトラム拡散技術を用いて海底〜海上間での情報のやり取りを行うことにより、深海探査機、線さ等のSSBL方式音響測位の精度向上、機能の拡充を達成することを目的としている。 本年度は9月、12月に、海洋研究開発機構の研究船「かいよう」を用い、駿河湾にて実海域実験を行った。『深度約1,200mの海底に送、受波器及び送受信装置を係留し、海底、母船間の周波数帯域12±3kHzの信号の送受信を行った。9月の実験では、コード長15,31,63のDSSS信号について送波レベルを変化させた信号の海底の送波器から船底受波器への送受信を行った。海底反射と見られるマルチパスと直接波の近傍に低いレベルのマルチパスが見られたが、SNR5〜8dB以上で1chの信号による確度の高い通信が可能であった。12月の実験では、DSSSとの比較のためにFHSS、QPSKおよびFSK変調信号の送受信も行った。DSSS以外の信号については解析中である。また、船底送波器より,海底の受波器への送受信も行った。海底での受信波で直接波近傍に高レベルのマルチパスが見られ、直接波の5割以上のレベルのマルチパスの存在下では通信確度が顕著に低下した。シミュレーションにより、遅延がチップレートの2倍以下であるマルチパスによって、相関ピークの位置や位相が大きくシフトすることを確認している。このような場合、通信、測位ともに影響が大きく、チャンネル等化が必要であると思われる。 また、音速計を船より吊下し、海中の音速分布の水平方向の空間的、時間的変動を調べた。その結果数mの空間的あるいは時間的変動が観測され、特に表層から150mまでの範囲では3〜5mの変動が観測された。これをもとに、この変動がSSBL測位に与える影響をシミュレートしたところ、スラントレンジで1000mに対して数m(0.1〜0.2%)の誤差が生じることがわかった。
|
Research Products
(4 results)