2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760662
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 孝太郎 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (70361194)
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Research Abstract |
平成16年度において,花崗岩模擬物質合成実験に対して必要な知見となる異種鉱物粒界の分析準備を進めた.本課題では,固結直後の新期花崗岩の模擬物質を室内実験にて合成し,その除荷・冷却過程におけるき裂の発達過程を評価することで,天然の花崗岩体の上昇過程におけるそれをシミュレーションすることを試みる.模擬物質は固結直後の花崗岩の第一近似としてき裂に乏しい必要があるが,異種鉱物粒界を室内実験にて接着する方法に関する知見は乏しく,なぜ花崗岩が異種鉱物からなる強固な集合体を形成し得るのか理解されていない.そこで模擬物質合成のためには,異種鉱物の結合メカニズムを明らかにする必要がある.では,どのような花崗岩の粒界を観察・分析することで,粒界接着実験に対する有効な指針を得ることができるであろうか? 本研究では,分析対象として岩手県葛根田地熱地帯より産する葛根田花崗岩を選定した.葛根田地熱地帯は500℃以上に達する高温の新期花崗岩が深度およそ2000m以深において捕捉されている世界でも有数な地熱地帯である.本地熱地帯の深度2000〜3000mにおいて得られたボーリングサンプルを対象とした.一般に露頭で得られるサンプルは,固結から上昇,露出に至るまでの地質学的時間の間に様々なイベント(応力場や熱環境)にさらされ,変質などによって粒界本来の特徴が失われている可能性がある.一方,対象とした葛根田花崗岩のボーリングサンプルは,今まさに固結した直後の岩石であり,粒界の特徴を保存している可能性が高い.薄片観察の結果,ボーリング時の急激な温度変化が原因であろう熱き裂が多く発達していることが認められたが,同時に粒界部分において流体包有物の様な亜球形のボイドといった他に類を見ない特徴を呈することが分かった.今後,透過型電子顕微鏡を用いた粒界分析を行い,合成実験の指針を得る予定である.
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