2004 Fiscal Year Annual Research Report
分光学的手法による核融合プラズマ中固体水素ペレットの溶発過程に関する研究
Project/Area Number |
16760672
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
後藤 基志 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (00290916)
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Keywords | 水素ペレット / シュタルク広がり / 輻射再結合 / 輻射付着 / 局所熱平衡 / 輻射輸送 |
Research Abstract |
LHDでの水素ペレット入射実験において水素原子のバルマー系列発光線を観測した.発光線は明らかなシュタルク広がりを呈し,バルマーβ線およびバルマーγ線のプロファイルを理論計算結果と比較することにより,ペレット周辺部の電子密度を精度よく求めることができた.バルマーα線についてはシュタルク広がりから見積もられる電子密度が他の発光線から得られるものより大きくなるが,これは自己吸収の影響であることが明らかとなった.発光線と同時に観測される連続光は,プロトンの輻射再結合過程にともなうものと,中性水素原子への輻射付着過程にともなうものの重ねあわせであることを見いだし,両成分の強度の波長依存性が大きく異なることを利用してその成分比を求めた.その過程においてプラズマの電子温度が得られた.観測系の絶対感度校正を行い,観測された連続光の絶対強度と,これまでに求められた電子密度および温度の値からプラズマの体積と中性水素原子密度を求めた.プロトン密度が電子密度と等しいと仮定すると,中性原子との密度比が,求められた電子温度および密度における完全局所熱平衡のときの値と非常に近いことが明らかとなった.一次元の輻射輸送モデルから,観測されたバルマーα線の自己吸収を説明するプラズマの形状を調べた.あるプラズマの視線上奥行き長さを仮定すると自己吸収プロファイルは観測された発光線プロファイルと良く一致し,その結果はプラズマが磁力線方向に伸長していることを示した.このようなスペクトルを16マイクロ秒ごとに計測し,求められたパラメータの時間変化を求めた.発光強度が増加し,その後減少し観測されなくなるまでのおよそ400マイクロ秒の間,電子温度は時間的にほぼ一定で電子密度は単調増加していることが明らかとなった.
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