2004 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質セラミック材料の電気絶縁特性に対する放射線照射効果
Project/Area Number |
16760675
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
田中 照也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助手 (30353444)
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Keywords | セラミック / 電気絶縁性能 / 放射線照射効果 / 放射線誘起伝導 / 多孔質 |
Research Abstract |
電気絶縁材料を放射線環境下において使用する際には、放射線からのエネルギー付与に伴い絶縁性能の低下(放射線誘起伝導現象;Radiation Induced Conductivity(RIC))が生じる。本研究では多孔質セラミック材料に対するRIC効果の評価を行うとともに、空孔形状との関係を調べることを目的とする。本年度は多孔質アルミナ焼結試料(20x20x3mm^3)に対する^<60>Coγ線照射実験を実施した。両面に15x15mm^2の電極を蒸着した空孔率0%、30%、50%、70%の4種類の試料に対して、〜7Gy/sの線量率で照射を行い、試料中を流れるバルク漏れ電流の増加からRICの効果を評価した。RIC効果、すなわち電気絶縁性能の低下量、は各々9.3x10^<-12>S/m(空孔率:0%)、1.3x10^<-11>Gy/s(30%)、1.9x10^<-11>Gy/s(50%)、4.8x10^<-11>Gy/s(70%)であり、空孔率とともに増加した。RIC効果の大きさは、材料中の電界分布が一様と仮定すれば、放射線エネルギーにより材料中に生成される電荷キャリアの量に比例し、静電容量に半比例すると考えられる。しかし、試料体積(電荷キャリア量)および、ランダムに空孔を設けた絶縁材料の静電容量を3次元有限要素法により計算した結果から予測されるRIC効果の比は1:1.05:1.08:1.2であり、実験結果との大きなずれが見られた。このことは、空孔形状やサイズ、材質内の電界分布等のより詳細なパラメーターを反映したRIC計算モデルの構築が必要であることを示唆している。次年度、複数の試料に対する照射実験とRIC効果の詳細なモデル構築を行い、予測精度の評価を行う。また、材質形状によりRIC効果を抑制する可能性を探る予定である。
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