2004 Fiscal Year Annual Research Report
核融合プラズマ周辺における複合磁力線構造領域での熱・粒子輸送研究
Project/Area Number |
16760676
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
増崎 貴 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (80280593)
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Keywords | 大型ヘリカル装置 / 複合磁力線構造領域 / 高速掃引型静電プローブ / ヘリカルダイバータ |
Research Abstract |
ヘリオトロン型磁場配位の大型ヘリカル装置(LHD)には自然にダイバータ磁力線構造が存在している(ヘリカルダイバータ,HD).最外殻磁気面外側の磁力線構造はトカマク型装置のスクレイプオフ層(SOL)とは異なり、統計的磁気面領域及び残留磁気島領域、さらに最外殻磁気面から遠くなると、比較的短く、最外殻磁気面には近づかない磁力線がトカマクSOLに似た層構造を成す領域と、長く最外殻磁気面近くまで到達する磁力線群が狭い空間に集まっている構造(ヒゲ構造)が混在する複合磁力線構造領域(以降、複合領域とする)となっている。このような領域中での熱・粒子輸送を明らかにするため、LHDにおいて高速掃引型静電プローブ及びダイバータ板上に設置した静電プローブを用いたプラズマ計測を行った。前者は複合領域中の、後者は最外殻磁気面から複合領域を経て最下流に相当する位置での計測となる。 LHDでは磁気軸位置等の運転磁場配位の変化により複合領域中の磁力線空間構造も変化する。高速掃引型静電プローブによるプロープ特性計測から、いくつかの運転磁場配位において複合領域中の電子密度・温度分布を得た。統計的磁気面領域中では、密度は最外殻磁気面に向かって増加するが、温度は平坦な分布になることが観測された。また、最外殻磁気面から離れた領域では、ヒゲ構造位置と層構造を成す領域で、密度・温度の大きな変化が観測された。前者の位置では磁力線が最外殻磁気面近傍に達するため、熱・粒子が磁力線に沿って流れてきており、一方後者の位置では、前者の領域からの磁力線を横切る輸送によって熱・粒子が流入すると考えられる。複合領域最下流のダイバータ板に接続する磁力線構造は、複合領域の構造を反映し、ヒゲ構造と層構造が混在している。ダイバータ板上静電プローブによる計測から、粒子束分布も磁力線構造を反映しており、ヒゲ構造部でピークをもつ。高速掃引型静電プローブで計測したヒゲ構造部と層構造部の分布に対応すると考えられる。運転密度や加熱等に対して、分布の広がりは依存性を有しており、今後詳細にデータベースを構築する。 高速掃引型静電プロープを高加熱放電時に使用するとプローブヘッドの熱的損傷が発生した。加熱に対するプラズマパラメータ分布の依存性を得るためには、改良の必要がある。
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