2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱歪・曲げ歪を重畳印加した超伝導導体模擬サンプルによる臨界電流の歪特性評価
Project/Area Number |
16760678
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
木津 要 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (50354650)
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Keywords | 超伝導導体 / ケーブル・イン・コンジット型 / 熱歪 / 曲げ歪 / 臨界電流 |
Research Abstract |
ニオブアルミ(Nb_3Al)素線は、日本が先導的に開発してきた超伝導素線であり、ニオブスズ(Nb_3Sn)素線よりも素線長手方向の歪による臨界電流値(I_c)の減少が少ないことが知られている。一方、国際熱核融合実験炉を始めとする核融合炉設計の多くは、超伝導導体としてケーブル・イン・コンジット(CIC)型の導体を採用している。しかしながら、CIC導体中の超伝導フィラメントには、(1)熱処理温度(750℃)から4Kまでへの冷却による熱歪(導体長手方向の圧縮歪)、(2)熱処理後の導体の曲げによる歪(曲げ歪)、(3)通電時の電磁力による歪(横圧縮歪)が重畳されており、これらの歪がCIC導体の超伝導性能に与える影響を理解することは重要な研究課題である。そこで今年度は、Nb_3Alの引張り歪によるI_Cの変化を測定することとした。 コイルばね状に成形したサンプルホルダーの外表面にNb_3Al素線を取り付けたもの(素線サンプル)と、Nb_3Al素線2本、銅線1本をステンレス鋼コンジットに入れたCIC導体をサンプルホルダーに取り付けたもの(CICサンプル)を製作した。これらのサンプルのI_cの歪依存性を、低温中でサンプルに連続的に異なる歪を印加できる装置を用いて測定した。素線サンプルは-0.88%〜+0.15%の、CICサンプルは-0.91%〜+0.26%の歪領域のI_cの測定に成功した。素線サンプルの結果より、Nb_3Alの歪によるI_Cの減少がNb_3Snより小さいことを再確認した。また、CICサンプルの歪によるI_Cの減少は素線サンプルより緩やかであることが見出された。これはCIC導体中の素線の歪の緩和を示唆している。その緩和効果は、与えた歪0.8%に対して少なくとも0.1%程度であることが分かった。
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