2004 Fiscal Year Annual Research Report
乱流プラズマの輸送機構造同定のための統計力学手法に関する研究
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16760683
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松本 太郎 特殊法人日本原子力研究所, 炉心プラズマ研究部, 研究員 (50354676)
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Keywords | 電子温度勾配 / イオン温度勾配 / ジャイロ流体モデル / フラクタル次元 / 確率密度関数 / 統計解析 / トカマクプラズマ / 乱流輸送 |
Research Abstract |
磁場閉じ込めプラズマでは、強い過熱等により温度勾配が急峻になると微視的な不安定性が駆動され、様々な時定数及び特徴的長さを持つ乱流揺動とそれによって二次的に生成される帯状流の系が、「異常輸送」と呼ばれる大きな乱流輸送を引き起こすと考えられている。このような時空間スケールが異なった揺らぎが混在する輸送の解析には、シミュレーションによる再現と共に、それら揺らぎの特性を様々な側面から同定し、特徴付けることが重要である。本研究では、電子/イオン温度勾配(ETGIITG)モードに対して、ジャイロ流体モデルを用いた3次元スラブ配位シミュレーションを行い、異なった磁場及び温度勾配の条件下で、帯状流の形成や間歇的な熱流束等の輸送特性と、電場、圧力等の揺動から得られる相関次元、確率密度関数(PDF)等の統計量との関係を系統的に明らかにした。 帯状流レベルの低い電子系乱流におけるポロイダル電場等の揺動は、8-10の(比較的高い)相関次元を持つ一方で、帯状流が支配的な電子系乱流及びイオン系乱流では、揺動の相関次元は3-4に減少することが明らかになった。これらの成果は、1地点計測で得られる揺動の次元が乱流の構造を反映することを示唆しており、今後トカマク実験における乱流状態の新たな同定手法としての応用が期待される。 また、電子系乱流では、時には平均熱流束より遥かに大きな熱流束のバーストが生じ得る。この振幅のPDFを取るとバーストの頻度がテイル成分として表れるが、加熱及びプラズマ電流分布の変化を想定して電子温度勾配及び磁気シアを変化させても、熱流束のPDFのテイル成分の傾きが変化しないことが明らかとなった。これは、帯状流レベルが低く保たれている限り、乱流プラズマの熱流束の強弱の割合に規則性があることを示しており、どの程度の規模のバーストがどの程度の頻度で発生するかとの予測に役立つ。
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Research Products
(4 results)