2004 Fiscal Year Annual Research Report
固体飛跡検出法・密着型顕微鏡法によるマイクロドシメトリ手法の開発
Project/Area Number |
16760687
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 邦招 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60361531)
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Keywords | 硼素中性子捕捉療法(BNCT) / CR-39 / 原子間力顕微鏡(AFM) / 密着型顕微鏡法 / マイクロドシメトリ / 組織切片 |
Research Abstract |
硼素中性子捕捉療法(BNCT)は細胞選択的放射線がん治療法であるが、細胞核へのα線・Li反跳核のヒット効率が治療効果を左右するゆえ、真に細胞レベルのマイクロドシメトリ(または硼素分布測定)が必要とされる。 我々は中性子誘起αオートラジオグラフィ(αARG)法を高度化し、αトラックと細胞像を同一のCR-39表面に記録・現像、AFMで観察するというAFM-αARG法を開発してきた。今回はさらに分子標的創薬の観点から必要とされているオルガネラレベルでの計測が可能となるよう、細胞試料像の高精細化を試みた。 細胞組織試料を化学固定・エポン樹脂に包埋した後、300nm厚に切片化したものをCR-39に載せ、UV強度約0.5mW/cm^2で24時間照射してから70℃7N NaOH水溶液にて2分間エッチングし、AFM観察したところ、特にオスミウム酸固定(膜構造を固定)の時間を通常の10倍かけて行なった試料については各種オルガネラの膜構造までもが極めて明瞭に画像化できた。これは電子顕微鏡観察に匹敵する解像度であり、かつαトラックとの同時観察も達成できた。 また細胞組織試料の切片そのもののAFM高分解能観察手法の利用も検討した。10W殺菌灯のUVを1cmの距離で5時間照射した後、エタノール中にて超音波洗浄した細胞切片そのもののAFM画像では、通常の紫外線透過像のみでは観察できなかった微細な細胞内構造も高分解能に撮像できた。この細胞切片直接観察画像と、細胞UV像・αトラック同時観察像とを重ね合わせることによってオルガネラレベルでの細胞内硼素分布計測が可能になるものと考えられる。 これによりBNCTで急務とされる新規硼素薬剤開発のための硼素薬剤の詳細な局在情報が得られるものと考えられる。
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