2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子線加速器を用いた孤立高分子主鎖上での電荷キャリア移動度測定と高機能化
Project/Area Number |
16760690
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 昭紀 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10362625)
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Keywords | 時間分解マイクロ波伝導 / 光過渡吸収分光 / 電荷キャリア / 伝導度・移動度 / 共役系高分子 / 電子線加速器 |
Research Abstract |
KrF・ArFエキシマーレーザーおよびNd : YAGレーザーからの第2高調波・第3高調波を励起源として使用し、マイクロ波回路の調整およびソフトウェア・制御系の製作を行った。使用するマイクロ波立体回路は、シグナルアームとリファレンスアームの2系統があり、それぞれに可変減衰器とリファレンスアームに可変位相シフターが装着されている。また、分光器・ストリークカメラを利用した光過渡吸収測定系をマイクロ波伝導度測定系に組み込み、同時測定システムを構築した。伝導度はキャリアの移動度と数の積として表されるため、電荷の移動度を得るためには生成した電荷キャリアの数を知ることが必要である。光過渡吸収測定系は電荷キャリアの数を実験的に求め、またその時間挙動を伝導度の時間変化と比較するために用いられる。また、同時測定系にすることで、フィルム試料のようにダメージを受けやすい試料での測定が容易になった。 試料としてπ共役系高分子(ポリチオフェン)とσ共役系分子(ポリシラン)を用い、電荷キャリア生成効率を高めるためそれぞれテトラシアノエチレンとフラーレンを添加した系で、光励起によって電荷キャリアを生成し、測定・解析を行った。ポリシランの系では側鎖アルキルの長さと伝導度に相関関係が観測され、アルキル鎖長が6の時、最も高い伝導度を与えた。このことは電荷キャリア輸送が高分子のコンフォーメーションに大きく依存することを示しており、有機ELや有機トランジスタ材料として利用する上で重要な知見を与えると共に、この測定手法が材料開発・評価において有効であることを実証した。
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