2005 Fiscal Year Annual Research Report
アクチニド原子核に対する核反応モデル計算の予測精度の研究
Project/Area Number |
16760695
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岩本 修 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (80370360)
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Research Abstract |
昨年度、統計モデル計算コードの基本的部分を開発したが、今年度は開発したコードの計算結果の妥当性を検証するため、実験データが豊富に存在し、統計モデル計算が精度良く成り立つと考えられる質量数10以上の安定核に対し、1keVから20MeVの入射エネルギーでの中性子に対する反応断面積及び2次放出粒子のスペクトルの計算を行い実験データとの比較を行った。 実験データとの比較を効率よく行うため、世界的な核反応実験データの大規模データベースであるEXFORから自動的に実験データを集め、計算値との比較を行うことが可能なシステムを作成した。このシステムの作成にはIAEAのEXFORデータ収集システムおよびCERNのデータ解析フレームワークであるROOTを用いた。このシステムにより大量の核種に対して計算結果および実験データが同時に比較可能となった。 統計モデル計算には各種のパラメータが必要であるが、本年度は入力パラメータのデータベースであるRIPL-2等から広い核種にわたって適応可能なグローバルなパラメータを選び、入力パラメータとして用いた。その結果、比較的大きな反応断面積をもち、実験データも豊富である(n,g),(n,2n),(n,p)反応断面積の測定値に対し、グローバルパラメータを用いた計算で、全体的にはよく再現できることが分かった。また中性子入射反応による2次粒子中性子、陽子及び光子の放出エネルギー・角度の2重微分断面積の実験データの再現性に関しても満足できる結果が得られた。これにより、開発を行ったコードは中性子、陽子及び光子の放出に関して、妥当な計算結果を与えていると考えられる。 また得られた計算結果を応用計算コードに提供可能にするため、核データの標準的なフォーマットであるENDF6形式への変換のためのコードの基本的な部分を作成した。
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