2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクチニド原子核に対する核反応モデル計算の予測精度の研究
Project/Area Number |
16760695
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岩本 修 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (80370360)
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Keywords | 核データ / 中性子 / 核反応断面積 / アクチニド / 理論計算 / 二次スペクトル |
Research Abstract |
新たに開発した核反応モデル計算コードCCONEを用いて、20MeVまでの中性子入射に対するアクチニド核種の核反応断面積および二次中性子スペクトル測定データの理論解析を行った。対象核種としてアクチニド核種で最も測定データが豊富なウラン同位体を選んだ。理論モデルとして、チャンネル結合光学モデル、前平衡2成分励起子モデル、Hauser-Feshbach統計モデルを組み合わせ、使用する物理量を相互に一貫させた計算を行った。これらの理論モデルには多数のパラメータが含まれるが、可能な限り質量数等のグローバルな依存性から求めたパラメータを使用し、個々の核種及び反応に対し調整するパラメータの数を少なくするようにした。解析には全断面積、核分裂断面積、捕獲断面積、(n,2n)反応断面積、及び2次中性子スペクトルを使用した。全断面積に対し、滑らかな質量数等の依存性を持った光学ポテンシャルパラメータで測定値を良く再現できることが分かった。但し、中性子の入射エネルギー1MeV以下では計算と測定値の不一致が大きくなる。改善には、結合するチャンネルの数や変形パラメータ等のパラメータの調整が必要であった。核分裂断面積は核分裂バリアによる反応の閾値前後において、断面積が非常に大きく変化するため、測定値を精度良く再現するためには、核分裂バリアパラメータの細かな調整が必要であった。捕獲断面積、(n,2n)反応断面積、及び二次中性子スペクトルに対しては、計算値と測定値の一致は良いことが分かった。本研究において、アクチニド核種の反応断面積の計算による予測精度の向上には、核分裂バリア等の核分裂反応に対するパラメータが重要となることが分かった。これらの結果は日本原子力学会英文誌で、公表予定である。 また、本研究の結果を評価済核データライブラリーJENDLに提供するため、ENDF形式のファイルを作成した。
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Research Products
(1 results)