2004 Fiscal Year Annual Research Report
液体窒素温度から作動する水素液化磁気冷凍システム用磁気冷媒の開発
Project/Area Number |
16760696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 貴 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70273589)
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Keywords | 希土類 / 窒化物 / 磁気冷凍 / 磁気冷媒 / 磁気熱量効果 / 水素液化 / 磁気エントロピー / 蓄冷材 |
Research Abstract |
希土類窒化物の合成法として炭素熱還元法を採用してきたが、これまで粉末状(スポンジ状)の窒化物しか得られなかった。そこで、16年度はバルク体の希土類窒化物(GdN, TbN, DyN, HoN, ErN)を合成するために、窒素雰囲気中の熱間等方加圧(HIP)法を採用した。また、得られたバルク体希土類窒化物の磁化、比熱を測定した。これらの実験により、GdN, TbN, DyN, HoN, ErNの磁気冷媒としての有用性を評価した。 [1]HIP法によるバルク体の合成 HIP装置は大阪大学産業科学研究所の所有機材を使用した。磁化測定用試料として4×4×15mmのGd, Tb, Dy-Ho, Er金属塊を、比熱測定用試料として2×2×0.1mmの金属片を、1400気圧、1600℃の窒素雰囲気に2時間暴露することでバルク状の希土類窒化物を合成した。窒化物の合成はX線回折によって確かめた。 [2]磁化測定 HIP法により合成した希土類窒化物の磁化を測定し、従来法である炭素熱還元法で合成した窒化物の磁化と比較した。その結果、GdN、TbN、HoN、ErNについてはほぼ同等の値を示した。しかし、DyNについてはHIP法で合成した試料の方がより低磁場でも磁化か飽和する傾向が見られた。現在その原因について解明しているところである。 [3]磁場中比熱側定 HIP法により合成したTbN、DyN、HoN、ErNの無磁場中および5Tの磁場中の比熱を測定し、その値からそれぞれの窒化物のエントロピー線図をもとめた。さらに、そのエントロピー線図を基に、5Tから消磁した場合の磁気エントロピー変化と断熱温度変化を求めた。これらの結果から、いずれの窒化物も、従来20〜70Kの温度域作動する優れた磁気冷媒として考えられていた希土類含有金属間化合物と同程度かそれ以上の値となるこが分かった。また、これらの窒化物はその磁気転移温度付近で非常に大きな比熱のピークを示し、その値は従来極低温冷凍機に用いられてきたEr_3NiやErNiよりも数倍も大きいことが分かった。
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Research Products
(2 results)