2005 Fiscal Year Annual Research Report
液体窒素温度から作動する水素液化磁気冷凍システム用磁気冷媒の開発
Project/Area Number |
16760696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 貴 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70273589)
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Keywords | 希土類 / 窒化物 / 磁気冷媒 / 蓄冷材 / 磁気熱量効果 / 磁気エントロピー変化 |
Research Abstract |
強磁性希土類窒化物(GdN, TbN, DyN, HoN, ErN)は磁性を担う希土類元素密度が、希土類金属そのものより高くなるため、優れた磁性体としての応用が期待される。実際にこれまでの研究で、希土類窒化物はそのキュリー温度(Tc)付近で大きな磁気エントロピー変化(ΔS)を示し、断熱消磁温度変化幅も非常に大きいことがわかった。これらの性質は時期冷凍システムにおける磁気冷媒として用いることができる。また、Tc付近で非常に大きな異常比熱も観測され、極低温用蓄冷材としても有望であることがわかっている。 磁気冷媒や蓄冷材として用いる場合には、熱交換の行程が避けられない。素早く冷熱を伝えるためには、熱を熱伝導度が高い必要がある。測定に適した大きさのバルク体希土類窒化物を合成してその熱伝導度を測定した。この結果、Tcが低いことから蓄冷材として有望なErNや、異常比熱が最も高いHoNはEr3Niやステンレスなどの合金とほぼ同等の熱伝導を示すことがわかった。 また、適した温度で磁気熱量効果が得られるようGd-Tb, Tb-Ho, Ho-Er窒化物固溶体を炭素熱還元法により合成し、磁化測定からそれらの窒化物固溶体のΔSを求めた。いずれの固溶体でも、Tcはその両端組成の温度間で組成に応じて単調に変化することがわかった。このことにより、GdNのTc(58K)からErNのTc (7.5K)の任意の温度で、ΔSが最大となる温度を調整して窒化物を合成できることを明らかにした。 さらに、磁気冷凍による液体窒素温度からの水素の冷却と液化のエネルギー効率を評価するコードを作成し、能動的蓄冷型磁気冷凍機の段数、蓄冷材形状などの最適値の計算を行った。この結果、最終的に22Kの気体水素を液化する冷凍機の他に、77K〜50K、50K〜35K、35K〜22Kの3段で水素を冷却していくとエネルギー効率が高く、経済的な水素液化システムを組むことができることがわかった。
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Research Products
(3 results)