2004 Fiscal Year Annual Research Report
拡散層内ガス流れを考慮した高出力・高寿命固体高分子形燃料電池セルの開発
Project/Area Number |
16760697
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 元 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40336003)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 拡散層 / 流動解析 / フラッディング |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)は高出力密度,低作動温度型であるため自動車用動力,家庭用定置型電源として有望視されている。近年では構成材料の要素開発が目覚しく実証試験の段階に進んでいるが,本格的な実用化のためにはより高寿命化,高効率化,低コスト化されたセルを開発する必要がある。研究者は電極面積の拡大に伴い,出力低下や寿命低下が生じるという報告を得て,その原因を拡散層を通じてのガス流路間のリークと考えた。具体的には電極面積の拡大により流路間の圧力差が増加し,それに伴い反応ガスが拡散層内を通り隣接する別の流路にリークし,電極面全面への反応ガスの供給が不十分な状態になると考えた。そこで本研究では従来のガス流路をもつセルと異なり、拡散層中をガスが直接流れる拡散層リーク測定用のセルを作成し,発電時のガス流量,圧力損失の測定から拡散層の透過率を求め,それと締付圧力,電流密度,発電時間の関係を求めた。 その結果締付圧力が大きい場合,拡散層の空隙が潰れて透過率が低くなることが,また締付時の拡散層厚みと透過率は等倍の関係にあることがわかった。また高電流密度になるにつれて拡散層内に生成水が凝縮・滞留し,透過率が低下することがわかった。さらにこの拡散層内のフラッディングと限界電流密度に関してモデル作成を行った。 今後はこの測定用セルを改良し,操作温度などの種々の条件に対して拡散層内の透過率データを整理しその因果関係をまとめる。これにより拡散層内ガスリーク量をモデル化する。また実験により測定したデータを基に拡散層リーク流れを含む解析モデルを作成する。また計算の妥当性を検討するため,種々の流路形状及び操作条件において発電実験を行い,解析結果との比較を行う予定である。
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