2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜透過化細胞を用いたin vitroでのX染色体不活性化の誘導とその作用機構の解析
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16770003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 友二 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (70362522)
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Keywords | X染色体不活性化 / Xist / アンチセンスRNA |
Research Abstract |
哺乳類では、雌(XX)雄(XY)間でのX染色体の遺伝子量を補正するために、雌で2本のX染色体の一方の遺伝子発現を一括して抑制している(X染色体不活性化)。不活性化は、遺伝子量補正機構としての生物学的意義だけでなく、ヘテロクロマチン化を伴う伴染色体レベルの遺伝子発現抑制機構として非常に興味深い。しかしながら不活性化は、発生初期に母体内で起こるため現場を捉えることが非常に困難であり、不活性化のメカニズムの解析も劇的な進展をみせていない。本研究は、不活性化のin vitroモデル系を確立し、不活性化のメカニズムの解析を行うことを目的としている。 これまでの研究で、膜透過処理した細胞に別の細胞抽出液を添加することで、DNA複製、転写、クロマチンリモデリング等が再現できることが明らかになっている。本研究では雌未分化ES細胞を膜透過処理し、分化細胞の抽出液を添加することで、細胞分化、不活性化(に関わる遺伝子の発現)が誘導できるかどうかを検証する。不活性化の誘導は、不活性化の開始に必須であるXist遺伝子の発現により判定する。Xist遺伝子は、その発現がアンチセンス鎖(Tsix遺伝子)の転写によって制御されている。そのため、Xistの発現をRT-PCRで検出するためには、センスRNA(Xistの転写産物)、アンチセンスRNA(Tsixの転写産物)それぞれを特異的に検出する必要がある。また、FISHにおいてもセンス、アンチセンス特異的プローブを用いて、XistとTsixの発現状況を細胞単位で検出する必要がある。今年度はこれらの系を確立し、XistとTsix、それぞれの発現を特異的に検出できるようになった。来年度は、膜透過処理を行った雌未分化ES細胞にさまざまな体細胞抽出液を加えることで不活性化が誘導できるかどうかの検討、および誘導ができた場合、加えた細胞抽出液中に含まれる不活性化誘導因子の同定を試みる。
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[Journal Article] Imprinting along the Kcngl domain on mouse chromosome 7 involves repressive histone methylation and recruitment of polycomb group comnlexes.2004
Author(s)
Umlauf, D., Goto, Y., Cao, R., Cerqueira, F., Eagshal, A., Zang.Y., Feil, R.
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Journal Title
Nature Genetics 36・12
Pages: 1296-1300