2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおけるミトコンドリアDNA母性遺伝を規定する原因の解明
Project/Area Number |
16770009
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
設楽 浩志 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90321885)
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Keywords | ミトコンドリア / EGFP / マウス / 精子 / 母性遺伝 |
Research Abstract |
マウス初期胚における精子由来ミトコンドリア排除に関するタンパク分解系の探索 (1)精子由来ミトコンドリア排除の詳細な時期の特定 精子由来ミトコンドリアが排除される時期を詳細に特定するために、野生型であるC57BL/6J(♀)とmtGFP-Tgまたは、mtDsRed2-Tgマウス(♂)を用いた体外受精を実施した。これらのTgマウスは、蛍光タンパクであるEGFPまたはDsRed2によりミトコンドリアを標識したマウスで、それぞれの励起条件によりミトコンドリアを直接観察することが可能である。時間単位で精子由来ミトコンドリアのEGFP, DsRed2のシグナルが消失する様子を、共焦点レーザ顕微鏡を用いて解析し、その形態変化を定量化した。その結果、受精後、10時間で精子由来ミトコンドリアが断片化していく様子が観察された。しかし、蛍光量については現在までのところ、変化する様子は観察されなかった。現在、さらに観察を続けるとともに、膜電位依存的に染色する試薬を使用して、精子由来ミトコンドリアの活性を観察している。 (2)初期発生過程における卵由来ミトコンドリアの形態学的特徴を検討するために、初期発生過程における卵由来ミトコンドリアの観察をmtGFP-Tgおよび共焦点レーザ顕微鏡を用いて行った。その結果、前核期には核の周囲にミトコンドリアが多く局在する様子が観察された。 (3)既知タンパク分解系の阻害剤等を用いた精子由来ミトコンドリアの排除の形態学的解析 これまでに、報告されたタンパク分解系である、ユビキチン-プロテオソーム系・オートファゴソーム系等の阻害剤を用いて、精子由来ミトコンドリアの排除がされるか否かを検証するために、塩化アンモニウムを用いた実験を行った。濃度条件1,5,10mMとして初期胚が少なくとも4細胞期まで発生可能な条件を検討したが、現在のところ全ての場合において発生が確認できず、すでに報告されている条件では、発生させることが不可能であると思われる。引き続き詳細な条件を模索する。
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