2004 Fiscal Year Annual Research Report
食植性昆虫の産卵場所選択〜親と子が同様の食性を示す場合の特殊性と普遍性を探る
Project/Area Number |
16770010
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
藤山 直之 北海道教育大学, 教育学部函館校, 助教授 (90360958)
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Keywords | 食植性昆虫 / 産卵選好性 / 摂食選好性 / 子の成育状況 / 寄主植物特異性 / 産卵場所選択 / ヤマトアザミテントウ |
Research Abstract |
研究初年度にあたる本年度は、研究対象として設定した「親と子が同様の食性を示す食植性昆虫」のうち、ヤマトアザミテントウに関するデータを集中的に蓄積することができた。もう1種の調査対象であるアオカメノコハムシおよび対照区として取り扱うモンシロチョウについては予備的結果を得るにとどまっており、次年度における追加データの蓄積が必須である。 本年度得られた結果の大部分は未だ解析中であるが、現在までに以下のような予備的知見が得られている。これらの知見は親と子が同様の食性を示す食植性昆虫類では産卵場所選択が親の摂食選好性に大きく依存して形作られているという本研究の仮説と矛盾しないものである。 1)母雌と子のパフォーマンスの相関 4種のアザミ類を餌とした場合のヤマトアザミテントウ雌成虫の生存日数および総産卵数とそれらの雌成虫に由来する幼虫の成育状況を記録し、それらの間の関係を詳細に検討した。全体として雌成虫にとって好適な食草で幼虫の成育が良好であることを示唆する結果が得られたものの、厳密な意味での関係性はやや曖昧であった。この要因の一つとして、雌成虫の生存日数と総産卵数との間に存在するトレードオフが関与していることが考えられた。 2)実験条件下における母雌の産卵場所選択 飼育容器内でのヤマトアザミテントウの産卵場所はランダム産卵を仮定した期待値からは有意に離れていたものの、産卵がとりわけ食草上に為されるという傾向は認められず、産卵基質の表面構造や重力に対する負の選好性が検出された。 3)自然条件下における産卵場所選択状況の調査 ヤマトアザミテントウによる産卵が自然条件下ではほとんどの場合に食草であるアザミの葉に為されている事を再確認した一方で、アザミに隣接する単子葉草本への誤産卵が1例観察された。
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Research Products
(3 results)