Research Abstract |
本年度は,クチキゴキブリ属およびキゴキブリ属のマイクロサテライトマーカーの探索を集中的に行った。5月に屋久島及び種子島に赴き,多数の家族を採集した。前年度から使用しているGA^<10>, AT^<10>, GC^<10>, GT^<10>以外に新たにAGC^7, AGT^7, ACG^7, ATG^7の4つのプローブを作製の上,Imaging-High (TOYOBO)を使ってプローブと結合するドットを検出した。ポジティブなドットからスクリーニングを繰り返し,候補となるマイクロサテライト領域を挟むプライマーペアを前者は8つ,後者は9つ設計した。設計したプライマーを用いてPCRを行い,複数の個体群からポリアクリルアミドゲル電気泳動を行って各マーカーの多型の確認を行ったところ,前者は少なくとも3つ,後者は5つのアリルに多型があり血縁構造の推定に使うことが可能であることが判明した。更にアリル数を増やすためにスクリーニングを繰り返しているところであるが,今後これらを使い,コロニー内外の血縁構造を詳細に解析する予定である。更に,子虫の発達状態を定量的に評価するために,7月に北海道大学へ赴き,走査型電子顕微鏡(JSM-5510LV)を用いて,複眼や翅芽等の発達を詳細に観察した。現時点での研究成果を,第65回日本昆虫学会(岡山大学,9月)および第5回アジア・太平洋昆虫学会(韓国・済州島,10月)にて口頭発表した。後者の国際会議では,Y.C.Park博士(ソウル大)と韓国産キゴキブリの家族構造解析などについての意見交換と,今後の予定等の綿密な打ち合わせを行うことが出来た。なお今年度までの研究成果については,2つの国際学術雑誌および2つの和文雑誌に投稿し受理された。
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