2004 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境中のバイオフィルムの構造と機能-光という新たな視点-
Project/Area Number |
16770019
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
奥西 将之 立命館大学, COE推進機構, 研究員 (70373090)
|
Keywords | バイオフィルム / バクテリア / 真核生物 / PCR-DGGE / 琵琶湖 / ヨシ植物 |
Research Abstract |
自然環境中のバイオフィルムにはバクテリアのみならず、微細藻類や真菌類、またそれらを捕食するような原生動物といった様々な微生物が生息している。しかし、このような複雑な微生物の集合体を総体としてとらえ、微生物学的な見地にたった研究手法はほとんど確立されていない。そこで、まずPCR-DGGE法を用いた群集構造解析を行うことを試みた。琵琶湖に群生しているヨシの茎の水中部分を採取し、バイオフィルムサンプルを採取した。このサンプルからDNAを抽出し、原核生物と真核生物用のプライマーセットを用いてPCR-DGGEを行った。この結果得られるバンドのシークエンスを解析することで微生物の属種を明らかにした。 16SrDNAをターゲットとした原核生物用のプライマーを用いるとActinobacteria、シアノバクテリア、α、β、γプロテオバクテリア、CFBグループに分類される広範囲にわたるバクテリアが検出された。その中でも特にα、βプロテオバクテリアの割合が高く、この傾向はすでにバイオフィルムサンプルから多数(約150菌株)分離培養しているバクテリアのフロラの特徴とも一致していた。一方、18SrDNAをターゲットにした真核の微生物としては緑藻類や珪藻類などの一次生産者と呼ばれるグループだけでなく、原生動物や真菌類などが検出された。 以上の結果は2004年8月にメキシコで行われた国際微生物生態学会でポスター形式で発表した。さらに、2004年11月に仙台で行われた日本微生物生態学会にてポスターおよび口頭発表の両形式で報告した。 今後は琵琶湖の北湖と南湖の特徴のある地点に定点を設け、定期的に調べることで微生物フロラの季節変動を明らかにする予定である。また、^<14>Cでラベリングしたグルコースや炭酸ナトリウムの代謝活性を測定することでバイオフィルム中の微生物の機能という点についても明らかにしつつある。
|
Research Products
(1 results)