2005 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境中のバイオフィルムの構造と機能-光という新たな視点-
Project/Area Number |
16770019
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
奥西 将之 立命館大学, COE推進機構, 研究員 (70373090)
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Keywords | バイオフィルム / バクテリア / PCR-DGGE法 / ヨシ植物 / 真核微生物 |
Research Abstract |
琵琶湖の北湖及び南湖から2-3ヶ月に一度,約2年間にわたった経時的にバイオフィルムサンプルを採取し,微生物フロラの季節変動を調べた.16S rDNA用のプライマーを用いてPCR-DGGEをおこなった結果,バイオフィルムサンプルではcyanobacteria, Actinobacteria, α-,β-,γ-proteopbacteriaさらにCFB groupに属するバクテリアが検出された.また,データベース上にUnculturedとして登録されている菌株が比較的多く検出されたことから,バイオフィルムには未分離,未同定の未知のバクテリアが存在している可能性が高い. 真核用のプライマーを用いると,緑藻類や珪藻類といった一次生産者のグループが高頻度に検出された.さらに,繊毛虫類やミジンコなどの後生生物に分類される微生物も多く検出された.後生生物はバクテリアや微細藻類を捕食するグループであり,それらがバイオフィルム中に多数棲息することは捕食によってバクテリアの群集構造に影響を与えている可能性がある. さらに二重バイアル法を用いてグルコース無機化活性の季節変動を明らかにした.その結果,北湖,南湖ともに春から初夏に採取したサンプルは光を照射することでグルコース無機化活性が大きくなり、逆に夏期のサンプルでは光を照射すると活性は減少した。ヨシ群生地の現場では水温が春から夏にかけて上昇するとともに、光量も春から初夏にかけて増加する傾向にある.しかし,夏以降ヨシの生長にともないバイオフィルムに到達する光の量は減少することがわかっている.これは棲息する微生物フロラが変化し,微細藻類などの光合成微生物と従属栄養性細菌の相互作用も変化しているのではないかと考えられる.実際PCR-DGGEによる解析から微細藻類のフロラが季節変動することが確認されている. 以上の結果からバイオフィルムの構造や活性に光が重要な役割を果たしている可能性があることが明らかになった.
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Research Products
(2 results)