2004 Fiscal Year Annual Research Report
観測衛星ALOSによる熱帯季節林の土壌水分環境と落葉フェノロジーの関係解析
Project/Area Number |
16770020
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 江利子 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 研究員 (20353584)
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Keywords | 熱帯季節林 / フェノロジー / 葉面積指数 / ALOS / NOAA / 正規化植生指数 |
Research Abstract |
(1)海外作業 カンボジア、コンポントム州のメコン川西岸森林地帯に調査地を設定した。当初計画していた常緑林・常落混交林・落葉林の3カ所に加え、湿地林を調査地とした。基本的な毎木調査を行い、葉面積指数を測定した。下記の調査ルーチンを現地の森林管理者に依頼し、2004年10月より定期調査を開始した。 A)林冠木フェノロジー(月3回):常緑林のDipterocarpus costatus, Anisoptera costata、常落混交林のDipterocarpus intricatus、落葉林のDipterocarpus obtusifolius、以上4種のフタバガキ科林冠木および湿地林のMyristica iners、各3個体のフェノロジーを記録した。 B)リター回収(月3回):調査木近辺の林床に設置した1m^2の方形枠に存在したリターを回収し、乾重を測定した。 C)降雨状況(月3回):降雨頻度・降雨強度を記録した。 D)フェノロジー調査対象個体の一部に関して、林冠部の写真を毎日撮影した。 (2)国内作業 GISデータの整備:フェノロジー調査対象個体のGPSデータを取得し、既存のGISデータと重ね合わせて、衛星画像解析のためのマスターマップを作成した。調査地の土壌水分データ、植生データおよび調査地近辺の温度・降水量データの使用を申し入れた。既存のNOAA衛星画像の解析を行い、調査地周辺の大まかな季節性を把握した。 (3)結果 衛星データより落葉現象のピークは12月末にあると推定された。写真データよりD. obtusifoliusが半落葉に留まることが示された。同種はタイ北部などでは落葉樹とされており、温帯〜亜熱帯間で報告されている常落性の可塑性が、季節性熱帯でも認められた。常落性の可塑性が温度条件だけでなく、水分条件によっても発現されることが示唆された。
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