2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物における細胞の分裂と分化を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
16770047
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 雅利 独立行政法人理化学研究所, 形態制御研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20373376)
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Keywords | 植物 / 細胞分裂 / 細胞分化 / サイクリン依存性キナーゼ / ヒャクニチソウ / 道管 / 細胞周期 |
Research Abstract |
分化全能性を有する植物は、様々な外的・内的なシグナルに対して、細胞分裂と分化とを柔軟かつ厳密に制御していることが知られている。私はこれまでに、その細胞の分裂と分化の方向性は、細胞周期の進行を制御するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性レベルによって決定されていることを明らかにした。そこで、本研究では高頻度かつ同調的に脱分化そして道管を構成する管状要素細胞へと分化を誘導することが可能なヒャクニチソウ葉肉細胞培養系に着目し、誘導過程においてCDKの発現や活性がどのような制御を受けているか解析を行っている。 まず、細胞周期の開始に関与すると考えられるCDKAと高い相同性を有するcDNAをヒャクニチソウより単離し、ZeCDKA;1と命名した。そこで、このZeCDKA;1を特異的に認識する抗体を作成し、管状要素誘導過程における発現について解析を行った。その結果、植物ホルモンを加えていない培地では、培養開始24時間以降ZeCDKA;1のタンパク質が検出されなくなるのに対して、誘導条件培養下では、24時間後から発現量がさらに増加することが明らかになった。様々な植物ホルモン組成の培地で培養した細胞を用いて解析を行ったところ、この培養24時間以降のZeCDKA;1の発現は、サイトカイニンではなく、オーキシンが重要であることが明らかになった。今後は、ヒストンH1及びRbタンパク質を基質としたリン酸化活性についても解析を行っていく。 また、CDKは様々な相互作用因子によりその活性が制御されている。そこで、ヒャクニチソウより、それら相互作用因子についても探索を行い、CDKの活性を正に制御するサイクリンDやCDK活性化キナーゼ(CAK)、負に制御するKRP遺伝子群を単離した。これらについても、現在抗体を作成しており、発現や活性レベルの挙動を明らかにする予定である。
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