2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺で産生される生理活性モノアミンの働きに関する研究
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16770048
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 学 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30282726)
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Keywords | 乳汁 / セロトニン / プロラクチン / 転写制御 / MOX / ドーパミンβ水酸化酵素 |
Research Abstract |
<セロトニンの乳腺局所の生理作用>βカゼイン遺伝子プロモーターおよびGAS配列を3つ繰返したSTAT5応答プロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を組込んだレポーターベクターを作成し、JAK/STAT5リン酸化タンパク系を介したプロラクチン応答を解析するためのレポーターアッセイ系を確立した。これを用いて、いくつかの乳腺由来細胞株で、プロラクチンによるJAK/STATを介した遺伝子転写活性化経路に対するセロトニン作用を調べたところ、セロトニンの影響は認められないか、転写活性を高めるという実験結果を得た。これは、セロトニンが乳汁タンパク合成を抑制するという従来の知見からの予想とは異なる。セロトニンは遺伝子の転写ではなくmRNAの安定性などを介して、乳汁合成を負に制御している可能性が示唆された。また、コロニー形成率へのセロトニンの影響を調べたが、概ね変化はみられなかったが、いくつかの細胞でセロトニンが細胞増殖を正に制御している傾向が認められた。 <MOXの生化学的性質>マウスMOX遺伝子を発現するS2細胞を作製し、生化学的機能解析のための精製を試みたが、収量が著しく少なく、解析には至っていない。機能解析に用いる抗体の作成を行い、MOXを精製せずに機能を推定する系を確立する必要がある。 <乳汁含有成分の胎児への影響>乳汁成分の胎児への影響を調べる一環として、母体由来エストロゲンの胎児生殖系発達への影響を調べ、過剰エストロゲンによる生殖輸管の発達異常はKGF/FGFR2IIIb情報伝達系を介して生じることが明らかとなった。
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