2004 Fiscal Year Annual Research Report
重力による茎細胞の成長方向の制御に表層微小管の配向変化は関与しているのか?
Project/Area Number |
16770051
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
曽我 康一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00336760)
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Keywords | 重力 / 成長方向 / 表層微小管 / 細胞壁物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、『重力刺激は、ジベレリンなどの植物ホルモンを介して表層微小管の配向を変化させることにより、横方向の細胞壁の物性を調節し、茎細胞の横方向の成長(伸長方向の変化)を制御している』という仮説を検証することである。平成16年度は、1)表層微小管の配向に対する過重力刺激の影響の解析、2)横方向の細胞壁の物性を測定するシステムの構築および物性の測定、を行った。 アズキ上胚軸を遠心過重力環境下で生育させると、重力刺激の大きさの対数に応じて、伸長成長は阻害されたが、肥大成長は促進された。また、表皮細胞長軸に直交する表層微小管(横向きの微小管)の割合は、重力刺激の大きさの対数に応じて減少し、細胞長軸と平行な微小管(縦向きの微小管)の割合は増加した。このような表層微小管の横向きから縦向きへの配向変化は、上胚軸の成長方向の変化に先行するか、あるいは同時に観察された。また、微小管破壊剤であるコルヒチンで処理した芽生えでは、過重力によって、上胚軸の成長方向は変化しなかった。以上のことから、表層微小管の素速い配向調節が重力によるアズキ上胚軸の成長方向の制御に重要な役割を担っていると考えられる。 次に、横方向の細胞壁の物性を測定したところ、過重力により縦方向の細胞壁伸展性は減少し、横方向の細胞壁伸展性は増加した。このことから、縦方向と横方向の細胞壁伸展性の変化が重力によるアズキ上胚軸の成長方向の制御に重要な役割を担っている可能性が示された。 以上のように、本研究では、平成16年度の計画をすべて実行した。また、本研究で得られた結果は、研究開始時に設けた仮説を支持するものである。
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