2006 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の加齢にともなう行動様式の変化とその神経メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
16770054
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松浦 哲也 岩手大学, 工学部, 講師 (30361041)
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Keywords | 線虫 / 加齢 / 化学走性行動 / 物質選択 / 行動生理学 / 行動遺伝学 |
Research Abstract |
1.線虫の加齢にともなう化学走性行動と物質選択性の変化 様々な濃度の酢酸ナトリウム(NA:0.1〜3.0M)やジアセチル(DI:0.001〜1.0%)を用いて、各成長ステージ線虫における誘引反応を調査した。その結果、幼虫およびヤングアダノレトステージ(YA)の線虫は、1.0MNAに対して最大の反応を示したが、アダルトステージ以降の線虫は0.6MNAに対して最大の反応を示した。DIに対しては濃度依存的に誘引率が増加した。これまでの研究で、線虫の誘引率はYAステージで最大となり、これは線虫の運動量と相関することが判明している。今回の研究では、これに加えて線虫の濃度感受性の変化も明らかとなった。 2.線虫の加齢スピードとジアセチルに対する慣れの持続性の関連について 一度ジアセチルを経験した線虫は、同物質に対する誘引反応が低下する。これはジアセチル(DI)に対する慣れであると考えられており、これまでの我々の研究でDI経験後約6時間程度継続することが判明している。線虫の飼育温度を変化させることにより、成長スピードを人為的にコントロールすることで、慣れの持続時間が線虫の持つ体内環境によってコントロールされているのか、あるいは絶対時間によりものなのかを調査した。奇妙なことに、成長スピードの減速は慣れの持続時間を減少させ、逆に成長スピードの加速は慣れの持続時間を増加させた。成長スピードに変異をもつ幾つかの変異体を用いても同様の結果が得られた。これらの結果は、線虫の代謝率や内部環境の変化が慣れの持続時間に大きく影響している可能性を示唆している。 3.ニューロン応答の計測 感覚ニューロンレベルにおける受容能の加齢変化を解析するには電気生理学的な調査が不可欠である。前年度と同様にニューロン活動をモニターするための実験装置のセットアップのための交渉を行ってきたが、諸般の事情により、現在も準備段階である。
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