2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会適応力の脳基盤;グリアの解析を中心としたアリの巣仲間学習機構の研究
Project/Area Number |
16770056
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
原 健二 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80293968)
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Keywords | 社会適応 / 社会性行動 / 脳神経 / グリア / 社会性昆虫 / クロオオアリ / 神経発生 / 脳機能発達 |
Research Abstract |
本研究では、社会性昆虫であるクロオオアリを用いて、社会適応の脳基盤をニューロン-グリア回路網という視点で解析する。具体的には、クロオオアリの脳における神経およびグリア発生の詳細な解析を行った上で、薬物投与による脳グリア形成の阻害と巣仲間学習能力への影響について解析する。 クロオオアリはその生態や社会構造などがよく調べられており、「社会」の神経生物学的な解釈を試みる当該研究の遂行には興味深い生物材料である。しかしながら、その脳の細胞学的、解剖学的、発生生物学的な研究例はこれまでに無く、最終目標の達成にむけた研究基盤の構築が初年度の研究目的であった。 平成16年度は、(1)クロオオアリの脳を構築するグリアに特異的なマーカーを得る必要性から、転写因子reversed polarity遺伝子のクローニングを行い、目的タンパク質をコードすると予想される全塩基配列を決定した。この成果は、グリア細胞に特異的な抗体を作成するという当該研究計画の遂行には、きわめて重要である。(2)クロオオアリの脳発生過程を詳細に検討した。孵化〜幼虫〜蛹〜羽化までのクロオオアリ後胚発生ステージを定義し、社会行動には不可欠であると予想されているキノコ体や触角葉を含む脳の各領域の神経発生およびグリア発生の詳細を明らかにした。この成果の一部は、現在Zoological Science誌に投稿中である。
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