2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16770057
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加川 尚 近畿大学, 理工学部, 助手 (80351568)
|
Keywords | ニホンメダカ種族 / なわばり行動関連因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、2つの野生型メダカ(北日本集団および南日本集団)を用いて、魚類のなわばり行動を誘発する新たな生理的または生化学的因子を探索し、個体間競争を主とした動物行動に関する新たな基礎的知見を得ることである。 本年度は、北日本集団(新潟産)および南日本集団(奈良産)の近交系を兄妹交配によりそれぞれ作出するとともに、なわばり行動の観察実験を行った。 近交系の作出では、新潟産および奈良産ともに第6世代の作出まで完了したが、近交系確立には、さらなる兄妹交配を継続する必要があり、今後の急務課題である。 なわばり行動の観察実験では、第5世代の新潟産および奈良産メダカを用いて、両者における排他行動の相違を観察した。実験は、同性、同齢、同サイズの新潟産および奈良産メダカの成魚各1尾を別々の水槽にて、同性、同サイズのヒメダカ1尾とともに一定時間内飼育観察し、ヒメダカに対する新潟産および奈良産メダカの排他行動(退かす・追いかける・突く)の回数を計測した。行動観察実験は雌雄別に20個体行った。その結果、雄では、奈良産メダカの方が新潟産に比べて排他行動が約2倍有意に多く認められた。一方、雌では、いずれのメダカにおいても雄に比べて排他行動が少ない傾向にあったが、奈良産メダカの方が新潟産に比べて約1.4倍多い傾向にあった。このように、雌雄を問わずニホンメダカ種族間において、なわばり行動に違いが存在するという非常に興味深い知見が得られた。 今後は、ニホンメダカ種族間で認められたなわばり行動の違いを誘発する生理・生化学的因子の探索を新潟産および奈良産メダカを用いて行う。
|
Research Products
(1 results)