2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞移動や器官形態形成における糖鎖修飾の影響とその必要性の解析
Project/Area Number |
16770084
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊原 伸治 独立行政法人理化学研究所, 細胞移動研究チーム, 基礎科学特別研究員 (70373272)
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Keywords | ADAM / Glycosylation / protease |
Research Abstract |
線虫C.elegansのU字型の生殖巣は原基先端の遠端細胞(DTC)が幼虫期にU字型の移動を行うことにより形成される。DTCが正確に移動するには生殖巣基底膜と体壁基底膜との適切な相互作用が必要である。近年、DTCの移動を制御するADAM(A Disintegrin And Metalloprotease)ファミリーに属する二つのメタロプロテアーゼが発見され、たんぱく質分解系が細胞の移動方向を決めるのに重要な役割を果たしていることが明らかになった。このような分子の一つMIG-17はADAMファミリーに属するZnメタロプロテアーゼをコードしており、DTCの移動する方向を調節する。我々は、MIG-17はプロドメインに6カ所、プロテアーゼドメインに3カ所のN結合型糖鎖付加部位(Asn-X-Ser/Thr)を持つ。これら全てのAsnをGlnに置換した変異遺伝子およびそれぞれ1箇所ずつを置換した遺伝子を作成し、具体的にどの糖鎖がMIG-17の局在や機能に重要であるかを明らかにした。 全ての糖鎖を欠損させた変異体は、局在が正常でなく、DTC移動方向を正常に調節することはできなかった。プロテアーゼドメインの糖鎖の欠損はMIG-17の機能に影響を与えなかったが、プロドメインの糖鎖の欠損では、その局在に影響がみられ、DTC移動方向にも異常が見られた。さらに糖鎖欠損はプロドメインの除去には関与せず、分泌された後の局在決定に関与する事が明らかとなった。 以上の結果よりMIG-17はN型糖鎖をもつことによって、正確に局在することが示唆された。本研究により、器官形成をつかさどるADAMプロテアーゼの機能における糖鎖修飾の重要性が個体レベルで明らかになった。
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Research Products
(1 results)