2005 Fiscal Year Annual Research Report
NADH-キノン酸化還元酵素(呼吸鎖複合体I)の構造プロテオミクス
Project/Area Number |
16770085
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹田 一旗 独立行政法人理化学研究所, 物質・エネルギー代謝系蛋白質研究チーム, 連携研究員 (30332290)
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Keywords | NADH-キノン酸化還元酵素 / NQO-5 / 結晶構造 / 呼吸鎖複合体I / サブユニット |
Research Abstract |
NADH-キノン酸化還元酵素(呼吸鎖複合体 I)は呼吸鎖複合体のひとつとして生命活動に大変重要な酵素であり、43個のサブユニットからなる分子量約1000KDa(哺乳動物由来)の巨大な膜蛋白質複合体である。本研究では酵素全体の詳細な分子構造の解明を最終目標にし、結晶化や構造解析の困難な多数のサブユニットからなる巨大な蛋白質複合体であることを考慮して、膜外ドメインを中心とした個々のサブユニットの網羅的な結晶構造解析を行った。 バクテリア由来の本酵素に含まれる14個のサブユニットは最も重要な最小基本単位と考えられている。本研究では精製や結晶化が比較的容易だと考えられる高度好熱菌由来の膜外サブユニットの結晶化を行い、複数のサブユニットの結晶化に成功した。このうち、サブユニットNQO5は、NADH-キノン酸化還元酵素の膜外ドメインに位置し、すべての生物種のNADH-キノン酸化還元酵素に含まれている重要なサブユニットであるが、これまで構造のみならず複合体中で担っている機能が明らかとなっていなかった。Ca存在下および非存在下で析出した結晶を用いて、大型放射光施設SPring-8のX線を利用して構造決定することができ、このサブユニットを構成する二つのサブドメインの相対配置がフレキシブルに変化することが判明した。今回の結果とこれまでの知見を考え合わせると、このサブユニットは呼吸鎖複合体Iの膜外部分と膜内部分をつなぐ蝶番の役割を果たしており、二価イオンの存在や酸化還元状態の変化の際に観察されている複合体の大きな構造変化を担っている重要な部位であることが判明した。
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Research Products
(1 results)