2005 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体Ca^<2+>ポンプの細胞質3ドメイン間相互作用の実態と機能の解析
Project/Area Number |
16770089
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
加藤 早苗 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80291061)
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Keywords | カルシウムポンプ / 小胞体 / ATPase / リン酸化 / ドメイン間相互作用 |
Research Abstract |
小胞体Ca^<2+>ポンプはATP分解に共役してCa^<2+>を小胞体内腔へ汲み上げ、細胞内Ca^<2+>動態を制御する。本分子の細胞質領域にはATPを結合するNドメイン、リン酸基を受け取りリン酸化中間体を形成するPドメイン、機能が不明なAドメインの3つから構成される。これらの細胞質ドメイン間の相互作用の実態と機能の解析を目的に研究を実施した。 昨年度は、Ca^<2+>放出に必須のAドメインLys189-Lys205ループと相互作用する可能性のあるPドメインの領域・残基に部位特異的変異を導入し、変異体タンパク質をCOS-1細胞で発現させ、ミクロソーム画分に回収してその酵素的性質に関する情報を得た。 本年度はこれら部位特異的変異体のうちATP分解能が野生型に比べて著しく低下している変異体に注目し、Ca^<2+>輸送サイクルの各ステップの反応速度論的解析を行った。数種の変異体において、リン酸化中間体の転移反応と脱リン酸化の両ステップの反応速度が野生型と比較して非常に遅くなり、この性質はLys189-Lys205ループに部位特異的変異を導入した場合と共通していた。続いてAla置換と側鎖の性質(極性やチャージ)の異なる残基への置換とを比較したところ、後者の方が大きい影響を受ける変異体を見出した。さらに、その変異導入残基とLys189-Lys205ループ残基との交換置換変異体を作製したところ、1残基置換変異体より高いATP分解能を示し、野生型に戻ったように見える変異体を見出した。 これらの結果から、Lys189-Lys205ループの相互作用相手のPドメイン残基を推定した。この領域がAドメインとPドメイン間の相互作用領域のひとつを担い、Ca^<2+>輸送サイクルにおけるA・P・N3ドメイン間の集合と解離及びその過程における迅速な構造変化に重要な役割を果たしているのではないかと考察した。
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