2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16770097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
末武 勲 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (80304054)
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Keywords | DNA methylation / Dnmt3 / nucleosome |
Research Abstract |
遺伝子発現制御機構の一つとして、DNAの塩基配列情報に依存しない制御機構が存在し、その機構(エピジェネティクス)が生理的に重要であることが明らかとなってきている。このエピジェネティックな遺伝子情報の発現制御にはDNAのシトシン塩基のメチル化修飾、ヒストン蛋白質上の化学修飾、クロマチン構造変化を引き起こすリモデリング因子などが深く関与している。私たちは、特にDNAのメチル化修飾に注目し、DNAにメチル基を導入する酵素の反応特性について、研究を行った。 DNA上に新規にメチル化模様を書き込む酵素として(DNA methyltyansferase)Dnmt3aとDnmt3bがある。これらの酵素は、ノックアウトマウスが致死であることから、生理的に重要な役割を果たしていることが分かっている。遺伝的解析から、Dnmt3aとDnmt3bのメチル化する部位はゲノム上で異なることが分かっている。しかしながら、これまで私たちは、裸のDNAを基質とした精製Dnmt3a及びDnmt3bを用いた解析を行なってきたが、Dnmt3aとDnmt3bの間に酵素学的性質の差、DNA配列特異性は見出すことができなかった。 この度、細胞内では、DNAは裸の状態ではなく、ヒストン8量体の上の巻きついた状態として存在すること(ヌクレオソーム構造)に注目し、精製したDnmt3a及びDnmt3bの基質をヌクレオソームに変え、in vitro でそれらの酵素学的な性質を調べた。その結果、Dnmt3aとDnmt3bに性質の違いを見出すことができた。Dnmt3bは、ヒストン8量体の上に存在するDNAをメチル化できるのに対し、Dnmt3aは低レベルでしかメチル化できないことが分かった。つまり、私たちは、生化学的な見地から、Dnmt3aとDnmt3bの違いを初めて見出すことができた。
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