2004 Fiscal Year Annual Research Report
生合成酵素の立体構造に基いた細胞内スフィンゴ脂質濃度の制御機構についての研究
Project/Area Number |
16770103
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
生城 浩子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (10280702)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / セリンパルミトイル転移酵素 / PLP酵素 |
Research Abstract |
以前に報告したSphingomonas paucimobilis由来セリンパルミトイル転移酵素(SPT)に加え、新たに3種類の細菌より新規のSPT遺伝子を単離し、大腸菌内で大量発現させ、精製法と精製酵素の保存法を確立した。補酵素に起因する特徴的なスペクトル変化を指標としてSPTと一連の基質誘導体や生成物誘導体との反応を解析し、下記の知見を得た。第一に、基質であるL-セリンとL-セリンのアミノ基を欠いた構造をした誘導体である3-ヒドロキシプロピオン酸のSPTとの結合過程を、それぞれ滴定実験とストップドフロー法によって解析した。その結果、基質結合によるSPTのスペクトル変化は、分子外アルジミン中間体生成に起因するものであり、ミカエリス複合体生成には起因しないことが明らかとなった。第二に、種々のセリン誘導体とSPTとの反応を解析し、SPTによる基質認識にはL-セリンのα-カルボキシル基が非常に重要であることを示した。第三に、培養細胞実験系において、スフィンゴ脂質涸渇に対する細胞応答を研究する場合に汎用されてきた一連のSPT阻害剤に焦点を絞り、それらのSPT阻害機構を解析した。まず、生成物誘導体であるミリオシンについては、酵素の活性中心で分子外アルジミン複合体を形成することにより、強力に且つ競争的に酵素活性を阻害することが明らかになった。さらに、基質誘導体であるβ-クロロ-L-アラニンとL-サイクロセリンについては、いずれも特徴的なPLP-付加物を形成することによって不可逆的にSPTを失活させることが明らかになった。以上の実験結果から、これら化合物によるSPT不活性化について詳細な反応機構が得られた。 さらに、細菌SPTのうちの1種については、このほどタンパク質結晶化とX線回折による結晶構造解析に成功し、細菌SPTの立体構造を決定しつつある。 本助成を受けて行った研究により得た上述の知見は、細胞生物学的手法で得られるSPTに関する実験結果に対して酵素学的な裏付けを与え、物理化学的理解の基礎となるものである。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Binding of C5-Dicarboxylic Substrate to Aspartate Aminotransferase : Implications for the Conformational Change at the Transaldimination Step2004
Author(s)
Islam, M.M., Goto, M., Miyahara, I., Ikushiro, H., Hirotsu, K., Hayashi, H.
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Journal Title