2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸糖鎖を介して脳の発達過程を制御する調節機構の解析
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16770108
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
矢部 富雄 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70356260)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / 神経回路形成 / 硫酸転位酵素 / in situ hybridization / real-time RT-PCR / 糖鎖生物学 |
Research Abstract |
脳の発達に伴う複雑な神経回路の形成には、神経細胞と細胞外マトリクスとの相互作用に、糖鎖構造を介して関与しているヘパラン硫酸(HS)が、重要な働きを担っていると考えられている。本研究課題では、神経回路形成において、HSの特異的糖鎖構造がいかなる情報伝達経路の調節に関与しているかを明らかにすることを目的として、HS糖鎖構造の決定因子の一つであり、生理機能の異なる糖鎖構造を合成することが知られている、HS3位硫酸転位酵素(3-OST)群に注目した。 本年度は、脳における時期および部位特異的な3-OST群(4種類)の発現について、発達期マウス脳由来の組織切片を作製し、3-OST遺伝子mRNAの発現部位をin situ hybridization法によって解析した。また、各発達期脳由来のトータルRNAを調製した後、各3-OST遺伝子mRNAの発現量をreal-time RT-PCR法により測定した。その結果、3-OST-2は大脳において生後8日目(P8)をピークに発現量が変化することや、3-OST-2は大脳皮質のII〜VI各層の神経細胞で発現シグナルが見られ、時期に応じてそのシグナルの強さが変化することが明らかとなった。また、3-OST-1は小脳においてP14をピークに発現量が変化し、P14以降のプルキンエ細胞などの神経細胞で顕著にシグナルが見られた。さらに、対照実験として行なった他のHS生合成に関連する硫酸転位酵素群(7種類)もまた、脳の発達に伴って酵素遺伝子の発現量が変化していることが明らかとなった。 これにより、発達期の脳においてHS糖鎖は時期および部位特異的に構造を変化させ、それにより相互作用する分子を選別するなどして、脳の発達に伴う複雑な神経回路の形成に関与している可能性が示唆された。
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