2004 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌走化性レセプタへの好塩菌走光性サブシステムの組み込み
Project/Area Number |
16770109
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鷲見 正人 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (30281819)
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Keywords | 走光性 / 走化性 / キメラ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
一部の好塩菌が有する光シグナル伝達システムは、バクテリオロドプシンによく似た光受容サブユニットと、バクテリア一般に分布する走化性レセプタとよく似た構造を持つトランスデューサタタンパク質からなる。このシステム内でのシグナル伝達メカニズムの解明には、トランスデューサの解析が必須だが、同タンパク質は大腸菌で全体を発現させられない。本研究では、このような解析に役立つ、扱いの容易なモデルタンパク質を開発することを目指す。具体的には、真正細菌の走化性レセプタタンパク質に走光性トランスデューサの一部を組み込んだキメラを作製して用いる。 本年度は、まず、すでにサルモネラ菌走化性レセプタのシグナリング部位を欠いた部分タンパク質について、その膜貫通部分をトランスデューサのそれと置き換え、大腸菌内で安定に発現可能であることを確認した。具体的には発現株の膜画分に多く含まれること、吸着クロマトグラフィを使った精製が容易で、精製後も安定であることについて、主に電気泳動像からの裏付けを得た。 また、作成した同キメラタンパク質が、走化性レセプタの機能であるリガンドとの結合能を失っていないかについて、等温滴定型カロリメトリ(ITC)を用い、リガンドであるアスパラギン酸を滴定したときの結合熱を測定することで確認した。 他方で、トランスデューサの一部を新しく組み込むことにより新たに付加されることが期待される機能として、光受容サブユニットとの結合能が生じているかどうかを確認した。具体的には、キメラと光受容サブユニットの混合物について、トランスデューサのみを特異的に吸着するカラムクロマトグラフィーを行ない、光受容サブユニットのみが有する吸光特性をプローブに溶出物の解析し、両者が結合して溶出する結果を得ることができた。
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