2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質の非天然状態の構造・物性と巻戻り中間体測定システムの構築
Project/Area Number |
16770111
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
園山 正史 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教授 (40242242)
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Keywords | 膜タンパク質 / 非天然状態 / 安定性 / 機能中間体 / 変性中間体 / 赤外分光 / ラマン分光 / 機能中間体 |
Research Abstract |
膜タンパク質の構築原理解明を最終的な目的として、膜タンパク質の代表的な基本構造である7本膜貫通ヘリックスをもつバクテリオロドプシン(bR)を対象に、本来機能の発現を誘導する可視光の照射が光退色という機能不全につながることが報告されているいくつかの非天然状態の構造・物性、およびバクテリオオプシン(bO)からの再生に関する研究を行った。非天然状態に関する研究では、紫膜の高温中間状態および界面活性剤により可溶化された状態のbRの構造および安定性を詳細に調べた。紫膜では、60℃から70℃の温度領域において、暗中での可逆な構造変化および光照射下での不可逆な光退色、70℃以上での熱退色がわかった。また光退色のkinetics解析から、紫膜中のbRには安定性の異なる分子種が混在していることが明らかになった。さらにヒドロキシルアミン反応性の実験から、高温中間状態のbRにおける、水分子のタンパク質内部への進入が急激に加速されていることが示唆された。一方、Triton X-100により可溶化したbRの安定性を暗中および光照射下で詳細に調べたところ、以前に報告されているオクチルグルコシドを用いた可溶化bRの場合と同様に、顕著な光退色が室温付近から見られた。ところが暗中では、オクチルグルコシドを用いた場合と異なり、50度付近まで安定であった。オクチルグルコシド可溶化bRの構造を赤外分光およびラマン分光により調べたところ、天然紫膜に比べて、発色団レチナールの異性化状態の変化および主鎖の構造変化が明らかになった。これらの構造変化は、高温紫膜において報告されている結果と類似しており、光退色の原因となる非天然状態の構造の共通の特徴である可能性がある。 bOとレチナールの混合による再生実験からは、bOが熱変性状態にあるにもかかわらず、レチナールとの結合による再生が確認され、bO分子の構造揺らぎが示唆された。
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