2004 Fiscal Year Annual Research Report
二成分情報伝達系におけるセンサー型ヒスチジンキナーゼ分子スイッチ機構の解明
Project/Area Number |
16770115
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (20311128)
|
Keywords | 光反応 / 二成分情報伝達系 / PYP |
Research Abstract |
二成分情報伝達系の持つ多様性を分子レベルで理解するためには、多様なセンサードメインが如何にして普遍的なHKドメインの自己リン酸化を制御しているのか、つまり、センサー型ヒスチジンキナーゼの分子スイッチ機構に隠された普遍性と多様性を明らかにすることが本質的である。この目的を達成するために、本申請研究ではSynechocystis由来の光センサー型ヒスチジンキナーゼCph1とRhodospirillum centenum由来の光センサー型ヒスチジンキナーゼPprの比較を行うことを予定している。Cph1の大量発現系はすでに構築しているが、本年度は、特に、全長Pprのクローニング・大量発現系の構築を行った。Pprは光センサードメインとしてPYPドメインを有している。PprにおけるPYPドメインの光反応の特徴を明らかにするために、PYPドメインのみを含む断片(P-PYP)の発現系の構築も行った。P-PYPの光反応を、これまでに数多くの研究がなされているEctothiorhodospira halophila由来のPYP(E-PYP)との比較したところ、P-PYPはE-PYPと類似した光反応サイクルを有することが明らかとなった。一方で、その光反応速度を比較したところE-PYPでは数100ミリ秒で反応サイクルが終わるのに対し、P-PYPでは1000秒程度要することが明らかとなった。 さらにPprの光反応を測定し、活性中間体の崩壊速度を比較したところ、PprはP-PYPに比べ若干速度が増加していることが明らかとなった。この結果は、センサードメインと信号出力ドメインの間の相互作用が光反応速度にも影響を与えていることを示唆している。光反応に影響を与える相互作用部位を同定するために、PYPドメインを含む長さの異なる断片を作成し、それらの光反応を比較した結果、PYPドメインと信号出力ドメインの間にあるリンカーを含む断片では、その反応速度に違いが見られた。この結果から、PYPドメインはこのリンカードメインとの相互作用を介して、C末端領域の信号出力ドメインの機能発現調整を行っている事が示唆された。
|