2005 Fiscal Year Annual Research Report
多数の分子モーターの非線形相互作用によるマクロな滑り運動の創発
Project/Area Number |
16770119
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今福 泰浩 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (70304722)
|
Keywords | 分子モーター / キネシン / 自己組織化 / 理論モデル / シンクロナイゼーション |
Research Abstract |
ミオシンロッドを持つキネシンキメラ分子とキャッチンを共重合させて長いキネシン繊維を再構成し、その上で微小管の滑り運動実験を行うことができる。この再構成キネシン繊維上ではキネシン頭部の向きが良く揃っていると考えられている。昨年度までの実験の結果、微小管はキネシン繊維上を双方向に滑ったり、キネシン繊維をいろいろな角度で横切ったりするが、運動速度は角度によらず同じであることがわかった。すなわち、キネシン繊維中のキネシン頭部は非常に柔軟であって、微小管をあらゆる方向にまったく同じ速度で運動させることができる。この研究についての論文を現在準備中である。現在、この再構成キネシン繊維を用いた揺らぎ解析を行っている。なお、以前に行ったミオシン分子モーターを用いた揺らぎ解析の結果は、論文として本年度に発表した。 これまでに行われた分子モーターの揺らぎ解析によって分かった性質、すなわち、「無負荷条件では分子モーターはシンクロナイズするが、高負荷条件では分子モーターは独立に働くこと」、を説明する理論を確立するために、これまでに他の研究グループが提案したいくつかの理論モデルの計算機シミュレーションを行った。これらのモデルは、ある特定の条件において多数の分子モーターがシンクロナイズして細胞骨格繊維を滑り運動させる性質を持っている。この計算機シミュレーションの結果、多数の分子モーターがシンクロナイズして働く場合には滑り距離の揺らぎの大きさを示す拡散係数が繊維の長さに依存しないことを確かめた。しかしながら、これら従来のモデルでシンクロナイゼーションがおきる条件は実験とあっていないので、新たなモデルを構築する必要がある。現在、これまでの計算機シミュレーション研究について論文を準備中である。
|
Research Products
(1 results)