2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションによるDNA修復メカニズムの解明
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16770122
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石田 恒 特殊法人日本原子力研究所, 中性子利用研究センター, 研究員 (60360418)
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Keywords | DNA修復 / ホリデイ構造 / 分子動力学シミュレーション / 分岐点移動 / 自由エネルギー面 / RuvA |
Research Abstract |
組換えDNA修復機能(特にホリデイ構造の分岐点移動反応メカニズム)の解明を研究目的とし、ホリデイ構造のモデルとしてE.Coli由来のホリデイ構造特異的DNA結合タンパク質RuvA4量体とホリデイ分岐DNA(25塩基対DNA4本鎖)の複合体(PDBコード:1C7Y)の分子動力学シミュレーションを実行した。まず平衡状態を調べるため、1気圧、300Kのもと1ナノ秒計算した。その結果、RuvAは分岐点中心を広げることでDNAの分岐点移動を促進する役割をもつことが示唆された。次に、分岐点移動の分子動力学シミュレーションを実行した。RuvBはDNA上を移動するモータータンパク質で、ATP加水分解のエネルギーを利用して分岐点移動反応を促進する。しかしながら現在RuvBとDNAとの複合体のX線結晶構造がないので分岐点移動の分子動力学シミュレーションを実行するには、RuvBが発生する力を人工的な外力で代用する必要がある。そこで、ホリデイ分岐DNAの両端を引っ張る外力を加えることで分岐点移動を促すSteered分子動力学シミュレーションを実行し、分岐点中心における塩基の組換えにおける水素結合の組換えの起こり方を解析した。その結果、DNAの5端から12番目の塩基がもつ水素結合が初めに崩れ、次に13番目の塩基と12番目の塩基の間に働くスタック相互作用が崩れることで、ホリデイ構造の分岐点移動がおこることがわかった。現在は分岐点移動における自由エネルギー面を解析するために、アンブレラサンプリング・シミュレーションを実行中である。そして、この自由エネルギー面の解析からDNAが分岐点移動する際におこる複合体中の相互作用変化を詳細に解析し始めた。また、RuvA4量体-DNA複合体のシミュレーションと平行して、RuvA8量体-DNA複合体モデルも作成して分子動力学シミュレーションを開始した。
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