2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションによるDNA修復メカニズムの解明
Project/Area Number |
16770122
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石田 恒 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門・中性子生命科学ユニット, 研究職 (60360418)
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Keywords | DNA修復 / ホリデイ構造 / 分子動力学シミュレーション / 分岐点移動 / 自由エネルギー面 / 酸性アミノ酸 / RuvA / RuvB |
Research Abstract |
本研究においては、組換えDNA修復機能(特にホリデイ構造の分岐点移動反応メカニズム)の分子レベルでの解明を研究目的とした。 はじめに、DNAの相同組み換え反応過程におけるホリデイ構造のモデルとしてE.Coli由来のホリデイ構造特異的DNA結合タンパク質RuvA4量体とホリデイ分岐DNA(25塩基対DNA4本鎖)の複合体(PDBコード:1C7Y)について、分子動力学シミュレーションおよび分岐点移動のアンブレラサンプリング・シミュレーションを実行した。その結果、RuvAは分岐点中心を広げることでDNAの分岐点移動を促進する役割をもつことがわかった。また、分岐点移動1ステップにおける自由エネルギー面には10-15kcal/molのエネルギー障壁が2つあること、これらの2つのエネルギー障壁の中間には自由エネルギーの低い準安定状態があることがわかった。そして、その準安定状態ではホリデイ構造の分岐点移動反応に重要と考えられているRuvA酸性アミノ酸と分岐点移動中の塩基が安定した相互作用をしていることがわかった。以上から分岐点移動における塩基組換えのおける水素結合の解離、再結合のメカニズムを明らかにすることができた。 更には、ホリデイ分岐運動を引き起こすモータータンパク質RuvBのATP結合状態,ADP結合状態,フリーの状態に相当するX線結晶構造(PDBコード:1HQC、1IXS、1IXR)とRuvB6量体の電子顕微鏡像を用いてRuvA8量体-RuvB6量体-ホリデイ分岐DNA複合体の立体構造をモデリングし、分子動力学シミュレーションを実行した。結果、各RuvBが立体構造を変化させることでホリデイ分岐運動を引き起こす、と実験研究者らにより提唱されているように、RuvBがホリデイ分岐運動を促す運動メカニズムの一部を確認することができた。
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