2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胎生中期AGM領域での造血を負に制御する分子を用いた血球分化機構の解明
Project/Area Number |
16770129
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
信久 幾夫 熊本大学, 発生学研究センター, 助手 (40332879)
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Keywords | 造血 / 血球分化 / AGM |
Research Abstract |
胎生中期のマウス胎仔の血管内皮様細胞から血球分化を再現する系として大動脈-生殖原基-中腎(AGM)領域の分散培養がある。AGM分散培養では、stem cell factor(SCF)、basic fibroblast growthfactor(bFGF)およびoncostatin M(OSM)の添加により血球系の細胞の輩出が可能となる。本研究ではAGM分散培養における未分化血球細胞の発生・分化過程の検討を行った。 AGM分散培養により生じた浮遊細胞をCD45およびc-Kitで展開するとCD45^<low>c-Kit^+(集団A)、CD45^<low>c-Kit^-(集団B)、CD45^<high>c-Kit^<low/->(集団C)の3つの細胞集団に分かれ、この順を追って顆粒球およびマクロファージの分化マーカーの発現が高くなってゆくことを見出した。各々の集団の細胞をギムザ染色すると、集団Aが未分化細胞様の形態、集団Bが顆粒球様の形態、集団Cがマクロファージ様の形態を示した。また、集団A細胞のみにストローマ細胞との共培養で(cobble stone様の形態を含む血球細胞の増殖能が認められた。同様に、集団A細胞が高いコロニー形成能を持ち、生じるコロニーが大きかった。加えて、未分化な細胞に見られるGATA-2およびCD34遺伝子の発現も集団A細胞が最も高かった。さらに、AGM分散培養に添加する3つのサイトカインを各々単独で添加すると、SCFのみでは生じる集団A細胞が著しく減少し、bFGF或いはOSMで単独では集団A細胞が全く認められなかった。集団A細胞をストローマ細胞と共培養すると、CD45とc-Kitの発現プロファイルがAGM分散培養の集団Bと集団Cに相当する2つの細胞群が得られ、各々の集団のギムザ染色による形態的な特徴も同じであった。これらの結果から、AGM分散培養の血球輩出においては、CD45^<low>c-Kkt^+を特徴とする未分化な細胞集団が形成され、顆粒球およびマクロファージなどに分化することが考えられる。
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Research Products
(3 results)