2004 Fiscal Year Annual Research Report
セミインタクト細胞を用いた細胞周期依存的オルガネラダイナミクスの分子機構の解明
Project/Area Number |
16770140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 ふみ 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10361594)
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Keywords | セミインタクト細胞 / GFP / 小胞体 / 細胞周期 / Cdc2キナーゼ / p47 / リン酸化 |
Research Abstract |
哺乳動物細胞の小胞体(ER)は、間期では細胞質中に広がったネットワーク構造を保持している。ERに局在するシャペロンであるHSP47とGFPの融合タンパク質を恒常的に発現するCHO細胞株CHO-HSPを共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、細胞分裂期(M期)ではERは部分的に切断されながらも連続性を維持していることがわかった。申請者は細胞膜を部分的に透過性にしたセミインタクトCHO-HSP細胞にL5178Yより調製したM期細胞質を添加することにより、M期特異的に起こるERの部分的切断を再構成することに成功した。さらにM期細胞質へのキナーゼ阻害剤添加や免疫除去法を行い、ERの部分的切断はCdc2キナーゼ依存的であることを明らかにした。申請者はCdc2キナーゼの基質の候補として、膜融合タンパク質p97の補因子であるp47に注目した。p47はゴルジ体やERの膜融合に関与し、Cdc2キナーゼによりリン酸化されることが知られている。そこでp47のCdc2キナーゼリン酸化部位である140番目のセリンをアラニンに置換した変異p47を作成し、そのリコンビナントタンパク質をM期細胞質とともにセミインタクトCHO-HSP細胞に添加した。すると、M期細胞質依存的に起こっていたERの部分的切断が阻害された。以上の結果から、Cdc2キナーゼ依存的なp47のリン酸化が、M期特異的なERの部分的切断を誘起することが明らかになった。これらの結果をまとめてGenes to Cellsに投稿し、受理された。
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