2004 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量GTP結合蛋白質Rhoの活性制御因子LARGの活性制御と生理機能の解析
Project/Area Number |
16770146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田谷 真一郎 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60362232)
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Keywords | LARG / 低分子量GTP蛋白質Rho / CRMP-2 |
Research Abstract |
低分子量GTP蛋白質Rhoの多彩な生理機能は、様々な細胞を用いて研究されてきた。しかし、現在報告されているRhoの活性制御機構だけでは、Rhoの生理機能は説明しきれない。私共はRhoの活性制御蛋白質としてLARGを同定している。本年度は、LARGの機能解析をするために、LARG結合蛋白質の解析を行った。研究実績は以下の通りである。 (1)LARGの活性制御機構の解析 LARG活性調節の分子機構の解析 ラット海馬神経細胞にLARGを過剰発現させると軸索伸長を抑制する。この時、LARG結合蛋白質CRMP-2をLARGと共に過剰発現させると、CRMP-2がLARGによる軸索伸長抑制の効果を阻害する。さらに、RNAi法によりLARGの発現を抑制した結果、軸索の伸長が確認できた。逆にCRMP-2の発現を抑制すると軸索の伸長は阻害される。以上の結果から、LARGの活性化調節にCRMP-2が生理的に関与することが示唆される。来年度は、CRMP-2が、いかにしてLARGの活性化を制御しているのか、より詳細に解析する予定である。 新規LARG結合蛋白質の同定と解析 今年度は、LARGのRGS領域に結合する分子を探索した。その結果、筋原繊維のZ盤に局在しているNebulinを同定した。NebulinはZ盤から伸び、アクチンフィラメントの長さ、重合を調節する分子である。アクチンフィラメントの重合にはRhoファミリーの関与が報告されている。以上の結果から、LARGがNebulinと結合することで筋原繊維のアクチンフィラメントの重合に関与することが示唆される。 (2)LARGの生理機能解析 トランスジェニックマウスの作製 LARGの活性制御機構の解析は主にラットの海馬神経細胞で行うため、個体レベルで反映されるか検証する。本年度は、LARGを恒常的に活性化させたトランスジェニックマウスの作製に着手した。その結果、数ラインのトランスジェニックマウスの樹立に成功した。来年度は、得られたトランスジェニックマウスを用いて様々な個体レベルでの解析を行う。 以上の結果から、平成16年度の研究計画はほぼ達成されたものと考えられる。
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